香港時間 - Hong Kong Time -

香港の今を、日常から、写真と文で読み解きます

ブルース・リーの生誕80周年記念切手

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今日、予約していた香港を代表する世界的な映画スター、李小龍ブルース・リー)の生誕80周年を記念した記念切手を郵便局で受け取ってきた。

 

切手は、リー氏の誕生日に合わせて11月27日に発売された。《唐山大兄》、《精武門》、《猛龍過江》《死亡遊戲》の映画のシーンを彷彿させる衣装やポーズをデザインしたもの。切手以外にも、記念ハガキ、記念封筒なども販売されているから、ブルース・リーファンにはたまらないだろう。

 

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(香港政府のサイトから)


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(香港政府のサイトから)


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(香港政府のサイトから)

 

これとは別に、生誕80周年を記念にしたトラム3台も香港島内で走り出した。こちらは、香港の手書き看板職人ジミー・ユェン氏によって描かれたもので、ブルース・リーの肖像などが描かれている。このうち2台は、車内にもブルース・リーの九龍塘の旧宅をモチーフにしたデザインになっているそうだ。

 

外出を控える日々の中、私はまだ、このトラムにお目にかかれていない。来年1月2日まで運行しているそうだから、それまでに見れたらいいなと思うし、乗ってみたいとも思う。

 

急きょ、PCR検査に行ってきた

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昨日(12月3日)、新型コロナウイルス感染者と関係するビルやレストランの最新情報を見ていたら、なんと3日前の11月30日に会社の同僚2人と昼ご飯を食べた店の名前がある。香港は感染第四波の真っ只中で、外食を避けていたが、この日、新たな同僚A君がやってきたので、一緒にランチに行こうということになったのだ。政府の公式発表をみると、この感染者は、発症した翌日の24日にその店に来店し、27日に感染が確認されていたこともわかった。つまり、我々は、この感染者が来店した6日後に同じ店に行ったことになる。

 

店は、何もなかったかのように、昨日も営業し、店内で食べている客もいれば、持ち帰り用を注文している客もいた。店主らしき男性によると、感染したのはお客さんで、「その後しっかり店内消毒したから心配はない。従業員も全員ウイルス検査をして陰性だった」と言う。

 

発症者が来店してから我々が訪れるまでの6日間という期間をどうみたらいいのだろう?店員は皆陰性と言うけど、まだ潜伏期間で発症していないだけ、という可能性はないのか?

 

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念には念をということで、急きょ政府が市民向けに実施しているPCR検査に行くことにした。検査所は現在4カ所。予約はどこも12月14日ごろまでいっぱいだ。でも、待ち時間を厭わなければWalk In(予約なし)でも検査してもらえるとわかり、A君は午後から休暇をとって検査所へ。私は仕事帰りに行ってみることにした。

 

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A君は、検査するのに一時間半待ったこと、翌日(つまり今日)の午前中には結果がわかると教えてくれた。私は午後6時半ごろ同じ検査所に行った。屋外で並んでいたのは40人ほどだったから並ぶことにした。待つこと約50分。室内に入る順番がやってきた。体温チェックと手を消毒後、指定されたカウンターに行くと、防護服を着てゴム手袋をはめた係員が、アクリル板越しに待っている。香港ID(身分証)を提示すると、係員が私の名前やID番号、携帯番号などをシステムに入力。ここで検査費用240香港ドル(約3300円)を払った。

 

「結果は明日報告します。メールなら午後1時半に通知する。この検査所に聞きに来るなら、午後2時半以降に来て」と係員。

 

メールを選ぶと、「あそこの台にあるパソコンで自分でアドレスを登録してね」ということで、メアドだけは自分で入力。そして検体採取エリアへ進んだ。

 

検査は前回の「全民検査」の時と同じ。鼻と喉を検棒でグリグリ回して検体をとられた。帰宅途中で、いろいろな思いや反省が頭をよぎった。12月14日までの14日間は在宅勤務を優先することにした。

 

https://hongkong2019.hatenablog.com/entry/2020/09/17/235737

https://hongkong2019.hatenablog.com/entry/2020/09/06/091247

 

今日、お昼にA君から「陰性だった。宝くじも当たらないけど、ウイルスにも当たらなかった」と冗談混じりのメッセージが来た。ホッとしながらメールをチェックしたら、私にもメールが来ていた。結果は「No Detected」。陰性だった。メールの発信は午前11時50分で予定より早い通知だった。

 

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とりあえず、ホッとしたけど、あのランチから14日間はまだ油断できない。今日も新規感染者が112人となり、うち100人は地元市民で感染源不明のケースが36人もいる。あの飲食店で第二の感染例が出てこないか注視しながら、気を緩めずに過ごしていこうと思う。

香港で秋といえば、ススキ!

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この2ヶ月余りの週末ハイキングで、わかったことがある。日本人が真っ赤に染まった紅葉や黄色く色づいたイチョウを見て、「ああ秋だなぁ」と感じるように、香港人はススキを見て秋を感じ、心躍らせるということだ。

 

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香港は日本のように四季のメリハリはないが、10月11月は、灼熱の夏が終わり、気温25度前後でカラッとした晴天が続く。その季節に誘われるように、ハイキングに行く人が増える。今年は世界で新型コロナ肺炎が流行し、海外旅行に行けない分、香港でハイキングする人が増えている。香港は、気軽にハイキングや山登りに行くことができるし、行った先々では心が洗われるような絶景が待っているのだ。

 

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私も香港人の友人に誘われて、毎週末どこかしらに出かけている。で、気づいたのが、山を歩きながら「うわぁススキだ〜」といって足を止めて、写真に収めるハイカーの多いこと。年齢も男女の別も問わない。本格的なカメラでススキを撮っている人もいる。「この前ここに行ったよ」と言ってた見せてくれた写真がススキの写真だったこともある。

 

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香港に来たばかりの頃、赤や黄色に色づく木の葉が見れず、日本の秋を恋しく思ったが、イヤイヤ香港ではススキを愛でるものだったのだ。もう長いこと香港にいるけど、やっと気づいた「香港の秋」だった。

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ススキだけじゃない、香港で見つけた“小さな秋”の写真も


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米国の制裁で自宅に大金保管

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林鄭月娥・行政長官といえば、昨年は世界で2番目に高給取りのリーダーだったが、今年8月に香港問題で米国政府の制裁を受けてから銀行口座が一切なくなり、政府から支給される給与は、自宅、つまり禮賓府(総理大臣公邸に相当)に保管しているのだそうだ。

(写真はCATVニュースから)

 

これは、林鄭長官がテレビのインタビューで明らかにしたもの。中国政府と香港政府が「国家安全維持法」を導入するなど香港の自治を侵害したなどとして、米国政府が8月に林鄭長官を含む中国と香港の政府高官11名(のちに4名追加)を制裁リストに加えたため、彼らは米企業の金融サービスが制限されている。林鄭長官は、現在は銀行口座を一つも持っておらず、クレジットカードも利用できない状態。給与は現金で受け取り、自宅で保管。買い物はいつも現金払いなのだそうだ。

 

「多少の不便はあるが、米国に資産はないし、米国に行くつもりもなかったから、制裁はほとんど意味がない」と強気の発言をしている。制裁の影響は感じるが、「国家の安全を維持するために受ける制裁であれば光栄だ」と答えた。

 

国家への忠誠心が熱い林鄭長官だが、その高額年俸は米トランプ大統領を凌ぐ。米メディア「24/7 Wall St.」によると、2019年の世界の国・地域のリーダーで、林鄭長官はシンガポールのリー・シェンロン首相に続き2番目の高額所得者だった。(年俸約509万香港ドル(約6800万円)。) 今年度は年俸521万香港ドル(約7000万円)の予定だったが、コロナ禍で昇給に対する市民の風当たりが強く、予定額の10%を減額した。

https://www.google.com.hk/amp/s/247wallst.com/special-report/2019/04/16/20-highest-paid-world-leaders-3/amp/

https://news.rthk.hk/rthk/en/component/k2/1518717-20200403.htm

https://hk.on.cc/hk/bkn/cnt/news/20200615/mobile/bkn-20200615012119583-0615_00822_001.html

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(「東方日報」が伝える年俸番付)

 

減額したとはいえ、月給は約39万香港ドル(約524万円),年俸は約469万香港ドル(約6300万円)だ。1000香港ドル札で受け取ったとしても、毎月390枚を受け取り、家に保管していることになる。ちなみに大学の新卒の月給は1万5000香港ドル(約20万1000円)程度だから、彼らの年収は林鄭長官の一ヶ月分にも及ばない。そのお金が毎月自宅に積み上がっていると想像するだけでもすごい話だが、庶民には縁がない雲の上の話でもある。いざとなれば中国政府が守ってくれるだろうし、これだけお金が有れば制裁なんて痛くも痒くもないだろう。

 

 

やっぱり閉店、あの黄色マスク販売店

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やっぱりなぁ。11月18日、黄色いマスクを売る店「Yellow Factory (イエロー・ファクトリー)」が、政府への抗争持続の意図がうかがえ、反体制活動を取り締まる『国家安全維持法』に抵触するのではないかとの指摘を受けて、店側は直ちに閉店した。私はその数日前に偶然、香港島銅鑼湾でこの店の前を通りかかって、店舗名だけでなく、商品のパッケージ、店内の陳列品などに驚いたので、ニュースを見てやっぱりそうなるよね、と思った。

 

店は18日、フェイスブックで、国家安全維持法に違反するつもりはなく、銅鑼湾とモンコックの両店は直ちに閉店し、ネット販売も停止すると発表した。

 

2店のうち、銅鑼湾店は、何もなければ見過ごして通り抜けそうな小さな店だ。が、強烈な店構えだったので多くの人が通りすがりに足を止めたり、横目で見ながら通り過ぎていた。

 

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(閉鎖数日前の店舗)

 

マスクの箱のロゴは、国安法で違法とされた昨年の反政府デモの4文字スローガンを、新型コロナ予防用にもじったり、デモ隊を彷彿させるイラストだった。マスクにも、英語のスローガンを連想させるローマ字が刻印されていた。店内には、人形、雨傘やメッセージが書かれた付箋の貼り紙なども飾ってあった。この店、最初はネット販売だけだったようだが、その後店舗販売も始めたようだ。


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(店内)

 

今の香港、「Yellow」という店名だけでも十分政治色を出している。黄色は、2014年に行政長官の普通選挙を求めて、香港の主要道路を占拠した「雨傘運動」のシンボルカラーでもあり、今も民主派市民のシンボルカラーだ。対する親政府派は、青色(中国語では、藍色)がシンボルカラーだ。市民は、お互いを「黄色派」「青色派」と言って区別している。


売店の中には、あえて“色”を出すところもあり、「黄店」「青店」と言われる。昨年のデモで出てきた言葉だ。黄店を支持する「黄色経済圏」構想も出てきた。今でもネットで黄店を調べて、わざわざその店で食事をする黄色派市民が少なくない。

 

話を「イエロー・ファクトリー」に戻すと、昨日、地下鉄駅に向かう途中で、閉鎖した銅鑼湾店の前を通りがかったら、下記の写真のようになっていた。

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(閉鎖した店舗。商品を見直し再開するのか?)

 

ただ、この閉店ニュース、新聞も淡々と閉店の事実を伝えるだけで、市民もスルーという感じ。街は何もなかったかのように、クリスマスに向かっている。

 

 

 

 

「一国二制度」下の2020年11月11日ー香港編ー

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今年の11月11日。中国本土は今後も内需経済の拡大を感じさせる一日となり、香港は民主派議員の排除で政治的統制がますます強まると感じさせる、対照的な日だった。これもまた、「一国二制度」という異なる制度のもとでの一コマと言えるので、中国本土と香港を別々に書き留めておく。

(冒頭の写真は11月12日付「東方日報」)

↓中国本土編

https://hongkong2019.hatenablog.com/entry/2020/11/22/084233

 

香港の11月11日は、一連の政治的出来事に重苦しい空気が漂っていた。中国の全人代(全国人民代表大会)が、香港の立法会(議会)議員が香港独立を擁護したり、外国勢力の介入を求めたりしたら、直ちに議員資格を剥奪できるよう決定したことを受けて、香港政府が民主派議員4人の議員資格を即日、失効させた。これに抗議する民主派議員15人が集団辞職を表明。民主派議員2名に対して、建制派(親中派)が41議席となった一日だった。

 

集団辞職に伴う補欠選挙は実施されないから、来年の立法会選挙までは、建制派の圧倒的多数の中で議会が進む。これまでは民主派議員の抵抗にあって、なかなか審議が進まなかった案件は、一気に進むようになるだろう。しかも政府は、法制度を都合のいいように変えやすくなる。その先にあるのはおそらく、昨年の反政府デモで問題点が浮き彫りになった、教育制度や最高裁の裁判官任命制度などの改革だろう。

 

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(「全人代の決定を支持し、議会を混乱させる議員を追い出そう」の横断幕)

 

それにしてもー。民主派議員の抗議の方法はこれしかなかったのか? 新型コロナを理由に抗議デモが禁じられているのに、議会で声を発する議員までいなくなってしまい、民主派市民は外堀を埋められた状態だ。しかも過去のケースを見れば、今回辞職表明した議員たちは、全人代の決定に反対したと解釈されかねず、次の選挙への出馬は認められない可能性が大きいだろう(香港政府は、その時の選挙管理委員会が決めることと言っているけど)。

 

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(全人代の決定を支持する市民の街頭署名活動)

 

香港の政治体制は変わった。反体制派を取り締まる「国家安全維持法」の法制化に続き、今回の議員資格の定義付けも中国政府主導だ。中国政府高官が香港のマツリゴトに物申すことが実に増えたし、諸外国からの対香港批判を平然と「内政干渉」と跳ね返す。それほど対外的に国力をつけたといえるだろう。これまでは中国政府と香港市民の狭間で何もできずにいた香港政府が、「国安法」をきっかけに、中国政府の意向に沿った高圧的な態度を市民に取るように変わった。民主活動家は、発言するどころか、過去の行為で逮捕されるケースが相次いでいる。

 

民主派議員の排除で加速する統制強化に、未来を悲観し、無力感を味わう民主派市民は少なくない。しかしその一方で、この政治的波乱があった後の週末、銅鑼湾では全人代の決定に賛同する市民の署名活動が行われ、サインする市民の姿もあった。政府支持派と民主派の比率がどれくらいなのかは不明だが、社会が分断した今の香港の姿はハッキリと見て取れる。

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以下、11月12日付主要香港紙の一面(「明報」と「星島日報」は一面が広告なので、二面)

 

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蘋果日報


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「明報」

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「東方日報」


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「星島日報」

 

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「大公報」一面と最終面の見開き


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「文匯報」

「一国二制度」下の2020年11月11日ー中国本土編ー

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今年の11月11日。中国本土は今後も内需経済の拡大を感じさせる一日となり、香港は民主派議員の排除で政治的統制がますます強まると感じさせる、対照的な日だった。これもまた、「一国二制度」という異なる制度のもとでの一コマと言えるので、中国本土と香港を別々に書き留めておく。

 

(写真は、ここ数年の「独身の日」のアリババの取引額などを載せた11月12日付「信報」)

↓香港編

https://hongkong2019.hatenablog.com/entry/2020/11/22/084414

 

中国本土で11月11日といえば、「独身の日」にちなんでネット通販サイトに出店している店が一斉に割引販売する日だ。今や国民的行事となり、多くの消費者があらかじめ目をつけて買い物籠に入れておいた商品を、「待ってました!」とばかりに購入する。

 

このイベントは、ネット通販大手のアリババが2009年から販促イベントとして開始。 今では、京東集団(JDドット・コム)など競合他社も参戦する中国の一大商業イベントとしてすっかり定着した。

 

中でもアリババは今年、前倒しセールも実施し、11日と合わせた累計の取引額 が4982億元(約7兆8500億円)と、過去最高になった。 昨年は2684億元(約4兆2300億円)だったから約1.85倍だ。今年は、前年を上回る25万のブランドが参加。「プラダ」 や「カルティエ」といった欧州の高級ブランドを含め、2600の海外勢が新規参入したという。

 

世界的なコロナ禍で、海外旅行に行って買い物することができない反動もあって、多くの人がネットショッピングに走ったようだが、8億人以上が商品を購入し、 配送の注文は23億件を超えたというから、桁違いにすごい。ホントにスゴイ。

 

香港から複数の商品を注文した友人のところにも17日には一袋に梱包されて届いたという。香港への配送商品は、まず広東省の物流センターに送られ、そこでまとめて梱包されて香港に配送される。香港の場合は税関審査も通るのに、これだけ短期間にちゃんと商品が届くのだから、その物流体制や処理能力たるや恐るべしだ。