香港時間 - Hong Kong Time -

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全民ウイルス検査に行ってきた

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9月5日、反政府的市民を中心に、すこぶる評判が悪い、政府が実施している新型コロナのウイルス検査「普及社区検測計画(Universal Community Testing Programme: UCTP) 」(通称、全民検査)に行ってきた。

 

検査は、無症状の感染者の検出を狙って、9月1日から始まった。香港IDか香港出生証明書を保持し、症状がない6歳以上の香港居民なら、国籍問わず、無料で一回限り受けられる。特設サイトで氏名、香港ID番号、連絡先電話番号を入力し、希望の検査所と検査時刻を選んで予約する。(検査所は141カ所、検査時間は午前8時から午後8時まで)

 

私が訪れた会場での検査はこんな感じだったーー。まずビルの入り口で、携帯電話のSNSで受け取った予約通知を見せて、体温チェックをして入場する。受付で登録を済ませると、検体を入れる細長い容器を手渡されて検査会場に進み、指定されたブースで検査を受ける。

 

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椅子に座ると、検査員がまず綿棒で、グリグリと鼻の奥の粘膜を取り、その後、口を開いて喉の唾液を取る。

 

ブースは20個あって、各ブースで防護服に身を包んだ医療従事者が待機していたが、週末にもかかわらず検査に訪れた市民はまばら。広い会場は、ガラガラだった。登録から採取まで、わずか5分程度。検査結果が陰性ならSMSで通知され、陽性なら衛生署から連絡が来る。

 

このウイルス検査、私立病院で受けると約2000香港ドル(約2万8000円)する。政府の検査は無料なのに、5日午後8時現在、予約数は約105万8000人と少ない。(香港の人口は約750万人、9月5日現在の感染者数は4858人)

 

予約する市民が少ないのは、検査に抵抗があるからだ。「外出を控えているのに、わざわざ見知らぬ人たちが多く集まる検査場に行く方が感染リスクが高い」という市民もいれば、中国本土から多くの医療従事者が支援にやってきたことなどから「検査を口実に政府はDNAまで管理するつもりではないか」と警戒する市民もいる。他にも、「検体の際に監視カメラで顔まで撮られかねない」とか、「誤って陽性と診断されないとも限らない」など、とにかく負の憶測が飛び交っているのだ。

 

政府は、こうした市民の不安を一つ一つ解消する説明をしながら、無症状の感染者を見つけるためにも多くの市民に検査に参加して欲しいと呼びかけている。それでも、反政府的な市民を中心に根強い不安が残っている。

 

5日までに、43万9000人分の結果が出てきて感染者が10人見つかった。このうち4人は、感染歴があるケースだった。政府は検査期間を予定より4日間延長して9月11日までにした。

 

一方、個人情報を盗用した予約などが180件見つかる事態も起きている。抗議デモなどが封じ込まれている中、この検査を政府批判につなげていこうとする動きもあり、検査体制や効果などを巡って、厳しい視線が注がれている。

 

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検査の話に戻ると、会場を出る際に、ご褒美?に携帯用消毒液をくれたのには、ビックリだった。