香港時間 - Hong Kong Time -

香港の今を、日常から、写真と文で読み解きます

やっぱり閉店、あの黄色マスク販売店

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やっぱりなぁ。11月18日、黄色いマスクを売る店「Yellow Factory (イエロー・ファクトリー)」が、政府への抗争持続の意図がうかがえ、反体制活動を取り締まる『国家安全維持法』に抵触するのではないかとの指摘を受けて、店側は直ちに閉店した。私はその数日前に偶然、香港島銅鑼湾でこの店の前を通りかかって、店舗名だけでなく、商品のパッケージ、店内の陳列品などに驚いたので、ニュースを見てやっぱりそうなるよね、と思った。

 

店は18日、フェイスブックで、国家安全維持法に違反するつもりはなく、銅鑼湾とモンコックの両店は直ちに閉店し、ネット販売も停止すると発表した。

 

2店のうち、銅鑼湾店は、何もなければ見過ごして通り抜けそうな小さな店だ。が、強烈な店構えだったので多くの人が通りすがりに足を止めたり、横目で見ながら通り過ぎていた。

 

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(閉鎖数日前の店舗)

 

マスクの箱のロゴは、国安法で違法とされた昨年の反政府デモの4文字スローガンを、新型コロナ予防用にもじったり、デモ隊を彷彿させるイラストだった。マスクにも、英語のスローガンを連想させるローマ字が刻印されていた。店内には、人形、雨傘やメッセージが書かれた付箋の貼り紙なども飾ってあった。この店、最初はネット販売だけだったようだが、その後店舗販売も始めたようだ。


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(店内)

 

今の香港、「Yellow」という店名だけでも十分政治色を出している。黄色は、2014年に行政長官の普通選挙を求めて、香港の主要道路を占拠した「雨傘運動」のシンボルカラーでもあり、今も民主派市民のシンボルカラーだ。対する親政府派は、青色(中国語では、藍色)がシンボルカラーだ。市民は、お互いを「黄色派」「青色派」と言って区別している。


売店の中には、あえて“色”を出すところもあり、「黄店」「青店」と言われる。昨年のデモで出てきた言葉だ。黄店を支持する「黄色経済圏」構想も出てきた。今でもネットで黄店を調べて、わざわざその店で食事をする黄色派市民が少なくない。

 

話を「イエロー・ファクトリー」に戻すと、昨日、地下鉄駅に向かう途中で、閉鎖した銅鑼湾店の前を通りがかったら、下記の写真のようになっていた。

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(閉鎖した店舗。商品を見直し再開するのか?)

 

ただ、この閉店ニュース、新聞も淡々と閉店の事実を伝えるだけで、市民もスルーという感じ。街は何もなかったかのように、クリスマスに向かっている。