香港時間 - Hong Kong Time -

香港の今を、日常から、写真と文で読み解きます

香港のテレビ局は、五輪五輪五輪

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帰宅してテレビをつけたらちょうど、王貞治さん、長嶋茂雄さん、松井秀喜さんが聖火ランナーとして映っていた。そう、東京五輪の開幕式だ。聖火を聖火台に灯すクライマックスに差し掛かっていた。

 

おー、まだ開幕式やってるんだ! 

(ちょっと嬉しくなって、リモコンを押しまくると)

ここでも、あそこでも、若干の時差があるけど、どれも同じ映像じゃん! 

 

 

遡ること数時間前。

香港人の友人と晩御飯の約束をした日が開幕式だったことに後で気づいたけど、「香港じゃあ、オリンピックよりも(ワールドカップやヨーロピアカップなどの)サッカーだよねー」なんて言いながら晩御飯を食べていた。どうせ家に着いてテレビをつければ開幕式の様子は、ハイライトなら絶対観れると思っていたから、特に焦りもしなかった。

 

何故か?それは、今回の五輪期間中は、テレビをつければ、どこもかしこも五輪番組の可能性があるからだ。なんたって、香港政府が東京五輪の放映権を買い取り、地元のテレビ局5局に放送させるからだ。これまでの五輪は、1局が放映権を買い取って独占放送していたし、香港でこれまでスポーツはそれほど盛んではなく、五輪は盛り上がりに欠けていた。

 

今回、テレビ局は、映像以外の番組制作費はすべて負担しなければならないが、映像はタダで政府から回してもらえる。政府のこの大判振る舞いは、五輪の露出度を上げて中国や香港の選手たちの活躍ぶりを市民に見てもらい、愛国に結びつけたいのだろう。テレビ局も開幕前から五輪ネタをニュースにして、かつてないほど盛り上げている。

 

で、5局はどんな具合だったか?

 

有線電視:

ニュースチャンネル

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スポーツチャンネル

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Now TV:

ライブチャンネル

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新聞チャンネル

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TVB:

(広東語チャンネルの)翡翠台と新聞台はやってる

 

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(英語チャンネルの)パール台はーーーあれれ?映画か。なるほど英語チャンネル見るような人は英語圏出身者が多く、中国や香港選手の活躍は興味ないか。

 

ViuTV:

最近大健闘のこのテレビ局。やってるねーf:id:hongkong2019:20210724035216j:image

こんな風にして放送。
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奇妙電視:

会社は奇妙電視だが、テレビ局名は、香港開電視

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有線電視の東京からの中継
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香港選手団の入場行進(有線電視から)
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五輪期間中、ライブの場合はこんな感じで、どこのチャンネル回しても同じ映像を見ることになりそうだ。

 

 

 

 

 

ブックフェアに行ってきた

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7月17日、「香港国家安全維持法(国安法)」が施行されてから初めての、恒例の「香港書展(ブックフェア)」に行ってきた。

 

これは香港コンベンション&エキシビションセンターで毎年、書籍、印刷物、文房具、電子出版物などを販売・展示する大規模な書籍市。書店で買うより安く買えるし、書店ではお目にかかれないほどの大量の本を一挙に目にすることができる。香港人の読書家ってあんまり見かけないが、このイベントには毎年大勢の市民が殺到する。本好きはスーツケースをガラガラさせて来場するほど。著者によるスピーチやサイン会もあり、香港市民(と言ってもほぼほぼ香港人)で賑わう、一大イベントだ。

 

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今年は、7月14日から7日間の予定で開催されている。昨年はコロナ対策で中止されたため、「国安法」が施行されてから初めての書展でもある。

 

地元メディアは、例年に比べて初日の来場者が少なかったこと。「國安法」施行後、初の書展で、2019年に起こった反政府デモの関連本はあまり見かけないが、「仮に市民から当局に通報されたとしても、販売している本は事前に専門家の審査や判断を経ており、法律違反のものはない」と強調する出展者の声を伝えていた。

 

私は土曜日の午後に出かけたが、流石に多くの市民がやってきて、最寄りの地下鉄駅を出てほどなくして行列ができていた。普段ならこの駅から会場まで10分も有れば行けるが、この日は約30分かかってやっと会場に着いた。会社の同僚は開催2日目に仕事後行ったが、この日も来場者は少なかったと言う。流石に週末は多いが、過去に並んだ週末よりはやっぱり列の長さは少なかった。

 

以下、写真で説明:

 

【展示会会場前】

長蛇の例

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エキジビジョンセンター入り口

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【展示会場内】

入り口入るとものすごい来場者で大混雑

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中国本土の書籍が並ぶブースは人が少ない

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ブルース・リーコーナーも

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移民関連本もズラリ

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キャラクター物を売るコーナーも
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中国語に翻訳された日本の漫画。「鬼滅の刃」も

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アグネス・チャンの本も

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反政府デモに関連した本も
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こんな電光掲示板も

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著書にサインをする著者
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私的に、場内で目立ったのが、コレ!

ジョージ・オーウェルの「1984」と「動物農場
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最後の「動物農荘」は、英語と広東語の併用!中国語じゃなくて、広東語で翻訳!?。言い回しも広東語にして香港人の感情移入をしやすくしてるらしい。

 

 

警察のブースも。反政府デモの写真集などは非売品だった。警察側から撮った写真集でこれはこれで貴重。ロイヤル香港ポリス時代の懐かしいバッジなども展示されていた。
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これはスピーカーリスト?読者を勧める有名人?アグネス・チャンの写真も。
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余談だが、同じ建物の別会場で、食品やアウトドア用品を売っていて、こっちでは日本政府観光局などが出展して観光の宣伝をしていた。

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コンベンションセンターからの眺め。会場を出る時は日暮れ時
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2021年7月1日ー返還記念よりも結党記念


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1997年に香港が中国に返還されて以降、7月1日といえば、返還式典が行われた「エキジビジョンセンター」の脇にある広場で朝8時に国旗が掲揚されて、その後、同センター内で行われる祝賀式典で行政長官が香港の現状や未来への抱負などを喋っていた。その数時間後の午後、市民が香港島の主要道路で「7・1民主化デモ」が毎年行われていた。一時、香港と中国が蜜月の頃は、民主派デモと同じルートを、午前中に親中派が祝賀パレードをしていた。

 

ちなみに日本のメディアは、民主派デモがあたかも2003年の「国家安全条例」の法制化に反対した50万人デモから始まったかのように書いているが、返還した97年7月1日から、行っている。

 

昨年は、コロナ禍を理由に「7・1デモ」は許可されなかったが、「香港国家安全維持法(国安法)」が前日に施行されたこともあって、違法と知りつつ若者らが香港島のSOGO周辺に集まって抗議の声をあげてデモは行われた。(逮捕者も大勢出た)

 

では、返還24周年の今年はどうだったか?

 

香港は、返還24周年記念よりも、中国共産党結党100年を祝っていた。


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(共産党結党100年を祝う垂れ幕)

 

テレビは香港の返還記念式典の様子はサブ画面で、天安門広場の結党100年の式典をメーン画面で放映。行政長官はじめ重鎮は北京へ。香港は、1週間前に政務長官に昇格した李家超氏が行政長官代理に。

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(TVBニュースチャンネル。メーンは天安門広場の式典。サブが香港)

 

新聞も12紙全て1面は、政府が買い取って、共産党結党100年と返還24周年を祝う全面広告。

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(英字紙「サウス・チャイナ・モーニングポスト」)


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(写真は「明報」だが、中文紙は全部この1面広告)

 

国旗掲揚は、初めて普通話(標準中国語)で。私も1時間ほど習近平国歌主席の講話を聴きながら式典の様子をライブでみていた--と言った具合。

 

毎年デモのスタートポイントだったビクトリア公園は、返還後初めて、警察によって正午ごろに封鎖された。ネットで午後3時から抗議デモを呼びかける動きがあったとかで、ビクトリア公園に近いSOGO前も昼過ぎから一部封鎖状態。スピーカーホンで、滞留を禁じる放送を流し続けていた。

 

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(返還後初めて7月1日に封鎖されたビクトリア公園)

 

こんなところに長居は無用と九龍側に行く。途中で、国安法施行1年を祝ったり、共産党結党100年を祝うメッセージを載せたバスやら、巨大看板などを見た。もうここまで来ると、市民に目を向けず、ひたすら中国に媚を売っているとしか思えない光景だった。

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(国安法施行1周年を祝う2階建バス)

 

強烈だったのは、共産党の旗を香港で初めて見たことだ。そして毛沢東を扱った劇の巨大な広告看板。ついにこういう時代になったのかーーー。

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夜テレビを見たら、警官(28)が倒れている様子が流れていた。背後から暴漢に刃物で切りつけられたと放送していた。その後の結末はーー。警官は一命をとり止めたが、襲った男性(50)はその場で自殺した。

 

追加のニュースはしばらく出てこなかった。2日の朝のニュースで、犯人は単独テロと警察が発表していた。遺書らしきものも自宅のPCから見つかったとか。事件後、花束をもって死者を追悼しに来る市民がいる。警察はその花束を取り去り、献花した市民の身元チェックが入る。警官は警備の際は防護服を身に付けて4人で組むという。

 

7月3日のニュースを見ていると、政府や公安は、テロリストを美化するべきでない、と強調している。政府や警察を支持する声明を出す団体も複数ある。

 

返還25年目に入った初日から、なんともやり切れない思いだ。社会の分裂が一層深まらないことを望みたい。

 

24年前の今日(1997年6月30日)

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24年前の今日、1997年6月30日。香港は時折りものすごい土砂降りになりながらも、刻々と残りの時を刻んでいた。英国植民地としての最後の時間だ。

 

さまざまな場所で、英国のユニオンジャック🇬🇧がおろされていく。世界中から集まったメディア関係者がカメラのシャッターをカシャカシャと切る。同じ場所に明日からは中国の五星紅旗🇨🇳がたなびくのだ。歴史上最後の瞬間だった。

 

明日からどんな時間が待っているのだろう。当時の香港市民には期待と不安が入り混じっていた。

 

当時、広東語が出来ず、辿々しい普通話(標準中国語)と英語で聞きかじりしていた私の感覚では、8対2程度で不安が多かった。香港は返還後、97年のアジア通貨危機、2003年のSARSに直面するが、SARS直後に中国が支援の手を差し伸べて始まった「自由行」(中国の個人旅行の解禁)を受けて、経済はV字回復を遂げる。並行して中国経済が飛躍し始めると、「中国とともに香港も豊かになるんだ」と、希望に湧く香港市民が増えていった。期待は不安を上回った。08年の北京五輪の時は「我々は中国人だから」と、香港人選手や中国人選手の活躍を誇らしげに見ていた。民主派市民は一層の民主化を訴えていたが、政治も経済も安定していた。


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(道路中央に飾られた返還24周年を祝う垂れ幕)

 

蜜月期間は長くは続かなかった。中国本土からみたら米粒程度の香港に、そのキャパ以上の中国人観光客や投資マネーが押し寄せ、香港人の感情は押し潰されていった。

 

若者たちの間で本土意識が芽生え、反中感情も高まる。そしてーーーーー。

 

昨年の今日は、「香港国家安全維持法(国安法)」が施行した。その後の1年は、「国安法」をベースに社会の歯車が動き始めた。その歯車はどんどん加速している。香港人自らが、香港を「新香港」というほどだ。

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(「国安法」成立1年を祝う新聞広告ー6月30日付「星島日報」より)

 

当時は香港の日本人向け情報紙で仕事をしていたから、返還対応のメディアパスをもらって、色んなところに行けた。24年前の今日は、人生で一番密度の濃い時間だった。カイタック空港に降り立つ江沢民国家主席を待つ瞬間。離港を待つ英海軍と写真を撮った時。0時になって日付が7月1日になった瞬間、セントラルの民衆の中にいた警察官が帽子に着いたロイヤル香港バッジを香港特別行政区のバッジに変えてみんなの拍手に沸いた時。その後土砂降りの中、直立不動で軍のトラックに乗り進駐してきた人民解放軍に身震いしたことーーー。

 

今日のお昼に、フト、懐かしく、6月30日から7月1日までのこんなことを思い出していた。なぜかというと、24年前の今日、一緒に昼ごはんを食べた友人カップル(今は夫婦)がまもなく香港を離れるから。長い時が流れたことを思い、改めて“時代”を生きているんだなぁ、と感じた。

 

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(お昼に食べた「口水雞飯」)

 

 

 

 

 

 

 

(8)国安法と報道の自由の狭間でー廃刊翌日の他紙

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6月17日に、中国に対して批判的な大衆紙「アップルデイリー」 の幹部5人が「香港国家安全維持法(国安法)」違反容疑で逮捕さ れた事件。報道の自由を揺るがす大事件に市民や社会はどう反応し ているのか? 日々のニュースや、実際に見聞きしたものをシリーズで記録してい く。(冒頭の写真は、6月25日付「信報」)

 

 

今回のテーマ:「アップルデイリー」廃刊翌日の他紙から

 

各紙、多くの市民が最後の「アップルデイリー」を購入する様子を伝える一方、アップルデイリーの消滅が鬼退治に成功したかのような評論も随所にあった。そんな中で、私は以下3つに注目した。

 

・宿敵「アップルデイリー」が消えた東方日報は

・「明報」と「信報」、「産経新聞」の記事話題に

・ジミー・ライ氏に関する書籍、多くの公共図書館で閲覧不能

 

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・宿敵「アップルデイリー」が消えた東方日報は

 

ライバル紙が消えて、やっぱり嬉しいんだろうな、と思う記事構成だった。1ページ使って、ジミー・ライの子息が刑務所に面会に出向く様子や、市民が「アップルデイリー」を発行していたネクストデジタル社ビルの前で、同紙を燃やす様子や、中国政府が日英政府が報道や言論の自由に憂慮していると発表したことに「内政干渉だ」とコメントしたことなど、細かい記事をいくつも載せていた。

 が、前日の香港で一番の出来事だった、多くの市民が「アップルデイリー」を購入するために長蛇の列を作ったニュースはカケラもなかった。こんなに偏りがあっていいのかな?

 これまで香港で1日の発行部数は1995年に東方日報が打ち立てた83万部が最高だった。それを宿敵「アップルデイリー」に100万部に塗り替えられてしまい、よっぽど悔しかったんだろうな。今や新聞も電子化され紙媒体は減る一方だから、再度記録を更新するのは相当難しいだろう。

 

 

・「明報」と「信報」、「産経新聞」の記事話題に

 

「明報」と「信報」と言ったら中産階級が好む新聞。(「信報」は政治経済ニュース中心で金融関係者がよく読む新聞)  その両紙が、24日付産経新聞の写真付きで、同紙がいかに日本で「アップルデイリー」の廃刊について伝えたかを紹介していた。

 その産経新聞の記事。中国語で見出しをとっていたのに驚いた。私は普段中国語を見ているから字面を普通に追えたが、日本の読者は、ビックリしたのではないだろうか。でも、黒地で白抜きの部分の記事を読んで、ジンときた。あれは読者に向けた記事というより、「アップルデイリー」や香港人に向けた手紙だ。そう思うぐらいのメッセージ性があった。香港でもかなり話題になった。特に「明報」は記者名まで書いていた。もちろん、並行して中国政府の批判コメントも書いていたけど。

 これとは別に、今回の「アップルデイリー」の一連の事件を、日本のメディアが逐次、大々的にニュースで取り上げていたことを香港では(というか私の周りで?)いい意味で結構驚いていた。

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(6月25日付「明報」より)

 

 

・ジミー・ライ氏を題材にした書籍、多くの公共図書館で閲覧不能

 

やっぱり出てきた。「アップルデイリー」の創業者ジミー・ライ氏に関する書籍を多くの公共図書館が閲覧不能にしたそうだ。親中派議員が、ある図書館の館長オススメコーナーがジミー・ライ氏に関する書籍シリーズになっていたのを問題視。それを受けてか、多くの公共図書館で、閲覧不能にしたらしい。黃之鋒(ジョシュア・ウォン)の書籍もすでに閲覧不能になっている。

 

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(6月25日付「信報」より)

 

(7)国安法と報道の自由の狭間でー最後の🍎日報を求めて

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6月17日に、中国に対して批判的な大衆紙「アップルデイリー」 の幹部5人が「香港国家安全維持法(国安法)」違反容疑で逮捕さ れた事件。報道の自由を揺るがす大事件に市民や社会はどう反応し ているのか? 日々のニュースや、実際に見聞きしたものをシリーズで記録してい く。(冒頭の写真は、過去の1面記事を散りばめた「アップルデイリー」の見開き特集)

 

今回のテーマ:最後の🍎を求めて

 

昨日の「アップルデイリー」廃刊発表から一夜明けた、24日朝。「絶対に買わなくちゃ!」と思って普段より30分以上早い、朝7時30分 に近所のコンビニに行く。今日付け新聞は26年の歴史に幕を閉じるとあって、過去最高の100万部を発行したという。幹部5人が逮捕された翌日、18日付けの50万部の2倍の部数だし、いつもより早くこのコンビニに行くのだ。うずたかく積み上げられ買い手を待つ新聞を携帯のカメラに収めるつもり満々だった。

 

ところが。。。


あれ?

 

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(「アップルデイリー」の棚は空)

 

蘋果日報」と書かれた棚は空。大量に配送する関係でまだ届いていないのか、と思ったら、

   「 『アップルデイリー』は売り切れたわ」と馴染みの店員さんのまさかの言葉。

   「え?売り切れ?」
   「一人で大量に買っていく人が続出してあっという間になくなったのよ」
   「そんな、ばかな。。。」
長年読み続けた新聞の最後が買えないほど、悲しいことはない。近くのコンビニや新聞スタンドを4店も回ったが、「あー、さっき売り切 れたよ」「もう売り切れたわ」とバッサバッサと無情な響き。

 

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(「アップルデイリー」売り切れの張り紙)


いつもならこの時間帯、絶対に新聞棚に置いてあるのに。 私の想像以上に、『アップルデイリー』の最後に市民が反応している。

 

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(「アップルデイリー」が売り切れ状態の新聞販売店)

 

いつもコンビニで売り切れになった時に、最後の切り札でいく小さな新聞販売店が頭をよぎる。一縷の望みを持って行くと、 市民が列を作っている。どうにか手に入れることができた。

 

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(「アップルデイリー」を買い求める市民)


一旦家に戻り、出勤の支度をして地下鉄駅に向かう途中でさっきの新聞販売店を通りがかったが、立ち寄る市民に「 売り切れよ」と答えていた。


午前9時前、オフィスの最寄り駅に着き、たまに新聞を買う販売店に立ち寄ってみた。この店も、「 売り切れだよ」と店主。ただ、その後に、「正午においで。追加の新聞が入ってくるから 。正午からまた売り出すからさ」と続けた。この言葉に、驚いて喜ぶ人あり、 「12時ね?」と確認する人あり。なんか敗者復活戦みたいだ。


午前11時50分ごろ、この新聞販売店に行ってみる。すでに30 人ほどが列を作って、新聞の到着を待っていた。若者だけでなく、 年配の男女も少なくない。おばあちゃんもいた。行列を見て「 何の列なの?」と聞く市民も。やがて新聞が到着し、店員が客の言う部数に応じてどんどんさばいていった。購入部数に制限はなく、 10部まとめ買いなんて人たちも。


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(午後からの敗者復活戦(「アップルデイリー」購入)に並ぶ市民の長蛇の列)


「黄色」と比喩される民主派市民向けの情報アプリでは、各地の新聞販売店の「アップルデイリー」の在庫状況を伝えるページがあった。それを見て、 午後から買いに走った人もいた。香港らしく、正規価格は1部10香港ドルなのに、15香港ドルや20香港ドルで売る店まで出てきていたそ うだ。(さすが香港、こういう投機的な動きは、 どういう時でも起こるものだ。投機の対象になっていたということ は、それだけ販売部数よりも買いたい人が多いということ)

 

さて、最後の新聞。1面は「雨の中での辛い別れ、我々はアップルデイリーを応援している」という見出しで、ネクスト・ デジタル社の前に多くの市民が駆けつけて、同社や同紙の最後を見守った様子が綴られていた。そのほか、「また会おう」として、過 去の様々な出来事を写真中心に紹介していた。

 

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(最後の「アップルデイリー」の一面)

 

過去26年間の1面を飾った様々な写真。ゴシップネタも含めて、 どれもこれも、懐かしい香港の歴史が詰まっていた。

 

多くの香港市民が、幹部逮捕から廃刊までのこの1週間の急激な変化に驚きつつ、ある人は記念に、ある人は政府への抗議の意味を込めて、またある人はアップルデイリーに感謝の意を込めて、あるいは香港でこれだけ自由に情報発信できた歴史の一片として、最後の「アップルデイリー」 を買い求めたのだった。明日から、もう、「アップルデイリー」はない。その現実が始まる。

 

 

(6)国安法と報道の自由の狭間でーさよなら🍎ー


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6月17日に、中国に対して批判的な大衆紙「アップルデイリー」の幹部5人が「香港国家安全維持法(国安法)」違反容疑で逮捕された事件。報道の自由を揺るがす大事件に市民や社会はどう反応しているのか? 日々のニュースや、実際に見聞きしたものをシリーズで記録していく。(写真は6月23日付け「アップルデイリー」内の読者に感謝する広告)

 

今回のテーマ:さよなら🍎

 

ついにその日がやってきた。大衆紙「アップルデイリー」を発行する「壱伝媒(ネクストデジタル)」は23日、24日付を最後に同紙の発行を終えると発表した。「中国に批判的な新聞」、「民主派新聞」と言われた同紙は創刊から26年で幕を下ろす。

 

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(6月23日付、「アップルデイリー」に感謝する広告)

 

最後の1日は目まぐるしかった。

朝、同社のネット週刊誌「壱週刊」が終わりを告げた。昼には「アップルデイリー」で社説を書いている主筆も国安法違反容疑で逮捕されたとのニュースが流れる。そして午後には、明日を最後に新聞の発行を終えると告げた。

 

夜、テレビニュースは、「アップルデイリー」の話題で持ちきりだった。創刊からの26年間の歩みも映像とともに映し出された。


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(「アップルデイリー」の廃刊を伝えるCATVニュース)

 

1995年6月の創刊当時のことは私も良く覚えている。発行前からこんな感じで話題だった。

  🍎中国返還を目前にして、反中的な人が新聞を出すらしい。

  🍎「蘋果(りんご)?」それ新聞名?

  🍎値段も2香港ドルって他紙の半額以下!?

 

もちろん、創刊紙は買った。当時では珍しく紙面はカラー印刷。斬新で、新感覚の紙面だった。部数を伸ばす🍎に対抗して、他紙も定価の5香港ドルを2香港ドルに引き下げて対抗した。それぐらい新聞市場にインパクトを与えた。

 

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(「アップルデイリー」創刊時のTV CM。人物はジミー・ライ氏。CATVニュースより)

 

ゴシップやスキャンダルネタも少なくなく、物議をかもすことも少なくなかった。しかし着実に読者を増やし、消えたライバル紙も有れば、アップルデイリーに市場を食われた新聞も少なくない。

 

政府を批判し民主派を応援する紙面が、徐々に浸透していった。民主化デモへの参加を呼びかけたり、デモ当日の新聞に、デモ用ポスターも織り込んだ。多くのデモ参加者がそのポスターを手に香港島の主要道路を行進した。

 

ジミー・ライ氏自身が民主派デモに姿を表すようになったのは、2014年の雨傘運動からだ。この頃から新聞もより反政府的に先鋭化していってように思う。

 

国安法が施行されてからも、反政府的な姿勢は崩さず、むしろさらに先鋭化し、やり過ぎじゃないの?と感じることもあった。政府は「言論の自由」とアップルデイリーの幹部や同社が国安法違反の容疑をかけられていることとは別だという。しかし、26年の歩みをテレビで見ながら、アップルデイリーの報道がなかったら発覚しなかっただろうなと思う政府関係者のスキャンダルも確かにあった。

 

林鄭月娥行政長官は先日、「メディアは香港政府を批判できるが、政府を転覆する意図、組織、扇動があれば、それは別問題だ」と語った。民主化デモで常に叫ばれていた「○○行政長官下台!(○○行政長官は辞めろ!)」はもう禁句だろう。香港社会はかなり窮屈になりそうだ。

 

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(6月23日付。「アップルデイリー」に感謝する広告)