多くの香港市民にとって待ちに待った申請手続きが始まった。香港政府による1万香港ドル(約14万円)支給の申し込み受け付けが6月21日(日)から、ネットバンキングや銀行の窓口などで始まったのだ。日曜日にも関わらず、初日だけで約200万人が申請。この現金支給も、政府支給のマスク「Cuマスク」同様、計画が立法会(議会)で可決されてから申請開始までわずか1か月だった。7月8日から支給されるが、ネット申請は「3秒で完了した」という友人がいるほど、簡単で、相変わらず細部にわたりスピード感があるシステムだ。(冒頭の写真は中国銀行(香港)のネットバンキングの申請画面)
(建設銀行のネットバンキングの申請画面)
この1万香港ドルの現金支給計画は、今年2月下旬に香港政府が2020年度(20年4月~21年3月)の予算案で発表した総額1200億香港ドル(1兆7000億円)の経済対策の中の一つ。対象者は2021年3月31日時点で18歳以上の香港永久居民約700万人で、支給額は710億香港ドル(約9800憶円)規模に及ぶ。
19年6月から続く反政府デモに加え、新型コロナウイルスの影響で経済が大きな打撃を受けていることを受けた措置で、香港内での消費を刺激し、市民の経済的負担を軽減するのが狙いだ。
(ハンセン銀行の申請画面)
(スタンダードチャータード銀行の申請画面)
日曜日にも関わらず、銀行も郵便局も窓口を開けて申請を受け付けた。冒頭の友人が「3秒で申請ができた」というほど、手軽にネットバンキングで申請できるシステムだ。(ちなみに政府も、ネットなら10秒で申請できると案内しているほど)。申請画面を開いて、ティックマークをつけて確認ボタンを押すだけ。2ステップか3ステップで終了だ。どの銀行も同じような設定だから、所要時間も同じだろう。
さすがは金融都市・香港と思うのが、この710億香港ドルを巡る、銀行間の1万香港ドルの獲得合戦だ。政府が指定した銀行は20行あるが、銀行にとっても資金を確保できるまたとないチャンスだけに、申請先の銀行に選んでもらおうと必死だ。「3か月預金をしたら金利4・3%を付ける」「アイホンが当たる」「現金1万香港ドルが当たる」「ダイソンの扇風機が当たる」など、各行豪華懸賞金までつけて、顧客獲得合戦を繰り広げている。
話を政府が支給対象者にしている永久居民に戻すと、香港に7年連続住んでいればもらえる永住権保有者のことなので、私のような外国籍でも対象だ。しかも、永久居民の身分を持っていれば、香港に住んでいなくても(つまり移民した香港人や、本国に帰国した外国籍の人なども)含まれるという、大盤振る舞いの現金支給だ。申請開始日だけで、対象者の約3.5人に一人がこの日に申請したというから、市民の期待度の高さがうかがえる。政府も、低迷している支持率アップや9月の立法会(議会)選挙を意識したイメージアップも狙っているだろう。
翻って我がN国ーー。10万円の支給をめぐって行政のデジタル化が遅れていることが分かったと政府が反省したそうだが、「3秒で手続きできる香港」から、大いに学ぶべきものがあるのではないか?ついでに香港同様、海外に住む邦人もあまねく網羅してもらえるようなシステムや制度も確立してもらいたいものだ。
【現金支給の計画発表から申請・支給までの流れ】
2月26日:一人1万香港ドル支給を予算案で発表
5月14日:予算案通過
6月8日:申請受付日などの詳細を発表
6月15日:銀行で記入用紙を配布
6月21日:銀行と郵便局の窓口およびネットバンキングでの受付開始
7月8日:支給開始
Cu マスク:
https://hongkong2019.hatenablog.com/entry/2020/05/18/090244
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