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香港市場に上場の京東、「塞翁が馬」で快進撃

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6月18日に鳴り物入りで第二上場した、中国インターネット通販2位の京東(JDドット・コム=9619)は、まさに塞翁が馬で今の王国を築き上げた。

 

同社は18日、米ナスダック市場に続き、香港市場にも上場した。初日の終値は、公開価格よりも8香港ドル(3.54%)高の234香港ドル(約3100円)だった。今回、市場から300億香港ドル(約4200億円)を調達したわけだが、この京東のオーナーでCEOの劉強東氏は、逆境をビジネスチャンスに変えた。まさに塞翁が馬。災い転じて福となしたのだ。

 

同社の創立は1998年だが、当時は日用品の店舗販売会社だった。2001年には中国最大の磁気光学製品の代理店となり、10店以上を展開しビジネス拡大中だった。ところが2003年にSARS(重症急性呼吸器症候群)が中国で流行し、店舗は一時閉鎖に追い込まれる。業態をインターネット通販に転換し時流に乗った。「塞翁が馬」となったのだ。

 

劉氏は、相当ロマンチックな人でもあるようだ。社名の「京東」の由来にそれを見て取れる。この社名を見たとき、東京と見間違った。東京の向こうを張って京東にしたのか?と冗談の一つも言いたくなったが、「京」は初恋の女性、龔小京さんの「京」から、「東」は自身の「東」から取ったのだという。(ちなみに奥さんは章澤天さん。奥さんはこの社名に嫉妬してないのか? 次の会社名は「天東」か?とも思いたくなる) 

 

ロマンチックが行き過ぎてか、劉氏は米国で性的暴行の疑いで民事訴訟を起こされて、同社のナスダック市場での株価が大きく下げたこともある。

 

話を本業に戻すと、同社は電子商取引の分野に進出後、 2010年に豊富な品揃えのオンラインショッピングを立ち上げる。そしてあの巨人企業「テンセント(700)」から電子商取引ビジネスの一部を取得し、テンセントの戦略的パートナーとなった。そして、2014年に米ナスダック市場に上場。時価総額が756億米ドル(約5,866億香港ドル、約8兆円)に上るEコマース企業に成長した。


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(京東の広告を載せて走るトラム)

 

上場後は国際化に邁進する。中国の宅配サービス大手の達達集団(2014年設立、2020年6月5日にナスダック上場)や米国の大手小売チェーン「ウォルマート」と戦略的パートナーシップを結ぶなど、国内外の異なる分野の企業と提携し、事業を拡大している。

 

昨年5月には「京東健康」を設立し、医療・健康事業にも進出した。折しも新型コロナが世界的に流行しており、これは京東健康の事業にとって追い風になるかもしれない。SARSに続き、新型コロナ(COVID-19)と、ウイルスもビジネス拡大に加担しそうな運氣も兼ね備えているのかもしれない。最後は勝手な妄想だけど。

 

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注)写真は、京東のオンラインショッピングのサイト

 

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