香港時間 - Hong Kong Time -

香港の今を、日常から、写真と文で読み解きます

33年目の香港の6月4日

f:id:hongkong2019:20220605094205j:image

天安門事件から33回目の6月4日を迎えた香港。事件の翌年から毎年行っていたビクトリア公園での追悼集会は昨年同様封印された。今年は、主催者団体の解散や新型コロナウイルス対策に伴う集団行動の禁止などから、集まる気運さえ出てこなかった。むしろ警察側は、前日夜から公園を封鎖するなど、昨年以上に警戒を強化していた。(冒頭の写真は4日午後)

 

「香港国家安全維持法」の施行から2度目の6月4日となった今年、街の空気も多くの市民の過ごし方も変わった。

 

4日は日中から大勢の警官が、公園や公園周辺の銅鑼湾や天后一帯で警備にあたり、不審者と見られる市民の持ち物検査などをしていた。


f:id:hongkong2019:20220605105306j:image

 

去年は、ビクトリア公園のサッカーコートは当日正午ごろから閉鎖されたが、今年は前日の午後11時から閉鎖。

 

去年は、銅鑼湾では、若者を中心に多くの市民が黒シャツ姿で携帯のライトを灯したり、小さなキャンドルを手にしたりしながら追悼と思われる行動をしていた。今年は、香港のニュースでは、マスクに自身の思いを書き込んで歩く市民や、昨年のように携帯のライトを灯して歩く市民の姿を捉えていたが、そういう行為をする市民は昨年とは比べ物にならないほど激減。むしろ、テープを張って立ち入り禁止エリアを作って警備に当たっていた大勢の警官と、その風景を携帯のカメラで撮影する市民の方が目立った。

 

去年はミサを開いた新界の教会は、今年はひっそりとして人影も、警察官の姿もなかった。昨年は教会近くのマンションのどこかの部屋から、追悼集会で毎年流れる音楽が流れていたけど、今年はその音楽が漏れてくることはなかった。


f:id:hongkong2019:20220605110802j:image

(教会前は人影もなくひっそりと)

 

遡ること、2年前の2020年6月4日。「香港国家安全維持法」が施行される前の最後の6月4日だったが、この年の年初に新型コロナの感染例が香港でも出たことから、香港政府は感染予防対策として集団行動を禁止。追悼集会は許可されなかった。それでも主催団体のメンバーや市民はビクトリア公園にやってきて追悼行動を行った。(この年は、集会は許可されなかったが、公園は封鎖されなかった。後にこのメンバーらは、違法集会を行ったとして逮捕され,実刑判決も出て拘留中)


f:id:hongkong2019:20220605120043j:image
(コートはライトアップされているが、ロウソクの灯も人影もなくひっそりとした4日のビクトリア公園)


今年は、ネットでこの日に合わせて煽動的な行為を呼びかけた疑いで前日に逮捕者が1人出たが、目立った動きはそれぐらい。むしろ警官の数や警察車両の方が目立っていた。4日付と5日付の親中派新聞「大公報」「文匯報」では6・4とか追悼集会という文字は一切なかった。

 

去年はこんな感じだった:

https://hongkong2019.hatenablog.com/entry/2021/06/15/084029