香港時間 - Hong Kong Time -

香港の今を、日常から、写真と文で読み解きます

あの「ジャンボ」が香港を去ることに

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日本人観光客に人気だった、香港仔(アバディーン)の水上レストラン「珍寶海鮮舫(ジャンボ・フローティング・レストラン)」が今月香港を離れる運命にある。(写真はRTHKのサイトから引用)

 

経営難に陥り、2020年にテーマパーク「海洋公園(オーシャンパーク)」に寄贈することが発表されていたが、昨年海洋公園から、ジャンボを運営する第三者が見つからないとして、受け入れを断られたそうだ。その後10社と譲渡の交渉をしていたが、維持コストが高すぎるとして、買い手が見つからなかったという。

 

香港を離れることにしたのは、(1)この6月でジャンボの海事ライセンスの期限を迎える(2)コロナで営業できない中でも、船体の維持や修理に毎年数百万香港ドル(約数千万円)の支出が発生している(3)3年に一度の大規模メンテナンスの時期にあたり、さらに負担が増す----といった状況にあるからで、ライセンスが切れた後は香港で停泊場所が確保できなくなるからだ。行き先はまだ決まっておらず、安く維持できる停泊場所を探して移動し、そこで譲渡先の出現を待つそうだ。

 

ジャンボは、1976年に開業して45年間も頑張っていたが、2013年から経営が傾き1億香港ドル(約16億円)以上の赤字となり、2020年3月に営業を停止していた。で、海洋公園に無償で提供したんだけど、その海洋公園も2019年の大規模反政府デモと翌2020年からの新型コロナウイルスの流行で、来場客が激減して自分も経営危機に陥って大変な状況だから、お荷物は抱えたくない(というより抱える余力ゼロ)ということなのだ。

 

水上に浮かぶ船体が、眩しいほどのネオンで照らされてお城のように見えたあのジャンボ・レストラン。遠目で見るだけでも迫力があったけど、小さな船着場から小型ボートに乗ってレストランに行く体験も刺激的で、日本人観光客の間では観光の目玉になるほど人気だった。

 

そんなジャンボだけど、行き先が決まっていないのに香港を離れることだけ決まっているなんて、なんと悲しい末路だろう。

 

いっそのこと日本のどこかの金持ち企業が引き取って、再生/活用するとかないのかな。