香港時間 - Hong Kong Time -

香港の今を、日常から、写真と文で読み解きます

民主の大きな転換となる2つの決定


f:id:hongkong2019:20210529215036j:image

 

2021年5月27日。香港にとって大きな2つの政治的な決定があった。

 

一つは、1989年の天安門事件の犠牲者を追悼する、恒例の「6・4集会」の開催を許可しないという決定。もう一つは、中国共産党が主導して改変した新たな立法会選挙制度条例案を立法会(議会)が、賛成40票、反対2票の圧倒的多数で可決したことだ。いずれも結果は想像できたこととはいえ、民主派市民にとっては、民主の大きな後退を象徴する重い決定だ。

 

ーーー


「6・4集会」は事件の翌年から毎年、犠牲者の追悼と中国の民主化を祈って、ビクトリア公園で行われてきた。昨年は、コロナ対策による集会規制を理由に許可されなかったが、違法と知りながらも多くの市民が追悼にやってきた。強行に集会を行った民主活動家は違法集会を扇動したとして今月有罪判決が出ている。

 

今年も主催団体は集会の実施を申請したが、またコロナによる集会の規制を理由に許可されなかった。主催団体は今日(5月29日)、上訴したが却下されたことを受けて、今年の「6・4集会」に関する宣伝活動を中止。各々が独自の方法で追悼してほしいと言うにとどめた。マカオも香港より先に、集会禁止が発表されており、コロナが収まったとしても、状況次第で来年以降の継続は微妙だ。

 

ーーー


一方、選挙制度の改変は議会で賛成多数で通過。今後、当局側が認める「愛国者」でなければ立候補もできなくなった。

 

香港の選挙制度は、もともと親政府的な業界団体や組織の意向が反映されやすい、親中派に有利な仕組みだった。今回、さらに親中派に有利な制度に変更されたことで、民主派は実質的に排除された格好だ。今後は議会でも中国政府の意向がより反映されやすくなる。


ということで、この2つの決定が下された翌日の5月28日の主要4紙の一面はどうだったか?

 

f:id:hongkong2019:20210529211115j:image

「りんご日報(アップルデイリー)」の1面は、警察が「6・4集会」の開催を禁止したとする記事


f:id:hongkong2019:20210529211051j:image

「明報」の1面は、ロンドンの不動産投資広告。


f:id:hongkong2019:20210529211044j:image

2面は、選挙制度の改変が議会で可決したことを報じる記事。


f:id:hongkong2019:20210529211104j:image

「大公報」は、1面と最終目の見開きで、選挙制度の改変案が議会で可決したことを報じた。


f:id:hongkong2019:20210529211107j:image

「文匯報」は、1面と最終目の見開きで、選挙制度の改変案が議会で可決し、新時代を迎えたと報じた。

 

下の写真は、5月28日付「大公報」と「文匯報」に折り込まれていた、選挙制度が改正されることを支持/祝う広告の一部。


f:id:hongkong2019:20210529211047j:image
f:id:hongkong2019:20210529211055j:image
f:id:hongkong2019:20210529211111j:image