香港時間 - Hong Kong Time -

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恒例の「6・4集会」、新型コロナ理由に阻まれる

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やっぱりなー。そう思うニュースが5月19日、流れた。新型コロナの感染拡大防止の一環で、政府は5月21日まで禁じていた9人以上の集まりをさらに二週間延長して、6月4日までにすると発表したのだ。香港はこのところ新たな感染者がゼロの日が続いており、公務員も企業も通常勤務に戻るなど、かなり日常を取り戻し出しているが、人数を緩和するでもなく2週間延長した。

 

6月4日。この日は香港では1989年から特別な日だ。この年に中国・北京で起こった天安門事件の犠牲者を追悼し、事件を学生らによる動乱と位置付けている中国政府に評価の見直しを求めて、翌90年から続けている「6・4集会」の日だからだ。

 

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(昨年の6・4集会)

 

オフィスでもこの日になると、「今日は、ロクセイ(広東語で64)かぁ」と言った声が漏れるほど、多くの市民の心に刻まれた日だ。集会は毎年午後8時から、香港島の維園(ビクトリア公園)で行われている。中国本土では事件は封印されているから、香港は中国で唯一、大規模な追悼集会ができる場所でもあるのだ。

 

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(昨年の6・4集会)

 

ところがー。政府は9人以上の集まりを禁じる措置を6月4日まで延長することにしたため、30年間続いた恒例の集会は開催不能となったのだ。

 

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(昨年の6・4集会、事件から30年を伝えるモニュメント)

 

同じくコロナ対策で現在閉鎖中のカラオケボックスや美容サロン、サウナなどは、二週間ではなく一週間延長しただけだった。(つまり5月28日まで)。

 

カラオケボックスなどは延長期間を一週間だけに設定したことについて衛生処の局長は「(対象となっている店の)従業員から様々な要求があがってきている。業界側からも経済的理由から早期再開の要望を受けている」と述べた。

 

一方で、9人以上の集まりを禁じる措置が続いている間は、「たとえ少人数のグループがマスクをつけて社会的距離を保っていても、多くの人が同じ場所に集まることは宜しくない」と表明。更に、「(2週間の延長は)主に公衆衛生を考慮した。(抗議活動を開催させないなど)その他の理由はない」と述べて、政治的理由ではないと強調した。

 

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(CATVニュース画面から)

 

これに対して集会の主催団体「香港市民支援愛国民主運動聯合会(支聯会)」は、「政治的要素はないとの政府の説明は信じない」とし、「各地に分散して集会を開くまでだ」と別の方法で集会を持続させることを匂わせた。

 

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(RTHKニュースサイトから)

 

昨夏以降持続していた大規模な反政府デモは、新型コロナの感染拡大とともに鳴りを潜めた。この間、政府が新型コロナ対策で打ち出した「密」を避ける人数制限が、しばらくはうまい具合に抗議活動や集会を阻止する大義名分にもなりうる可能性がある。(上限人数を徐々に増やしていけば、緩和をしつつも大規模集会を阻止できる)

 

それにしても、30年続いたビクトリア公園での追悼集会が、新型コロナウイルスによって阻まれる展開になるとは、誰が想像できただろう。

 

冒頭写真はCATVニュース画面

 

#6・4集会 #天安門事件 #香港 #新型コロナウイルス