保釈されたジミー・ライ氏の肉声が伝えたもの
香港国家安全維持法（国安法）に違反した容疑で逮捕され、今、香港一注目されている、香港紙「蘋果日報（アップルデイリー）」の創業者、黎智英（ジミー・ライ）氏。保釈後に社員に語り掛けた言葉を伝える「アップルデイリー」のウェブサイト上のビデオや、欧米メディアのインタビューに応じたライ氏の肉声から、逮捕当時の様子や胸の内がどんなものだったのか、うかがい知れる。下記のサイトから簡単にまとめてみた。
引用サイト：
https://hk.appledaily.com/local/20200813/LOL36RP4MB7BZ4K72MEJILDDSI/ （蘋果日報サイト）
https://youtu.be/CEOGv4a3gEM（FOXTV）
https://youtu.be/noEdRlgYZQg （BBC）
冒頭写真: Fox テレビの引用サイトから
８月10日朝７時、約20人の警官がライ氏の家に入ってきた。署への連行を命じられたが、ちょうど運動をしおわったところだったので、シャワーを浴びて着替えをしたいと申し出た。警察は要求を聞きいれたが、片時も離れない。バスルームのドアは開けたままにさせられ、警察の監視のもとでシャワーを浴びなければならなかったという。
(引用したFoxテレビサイトから)
警察の言動は過去に逮捕された時とは明らかに違ったという。初めて手錠をかけられ、刑務所で夜を過ごすことになった。国安法で逮捕される厳しさを感じたが、警官の中には普通話(標準中国語)を話す人は一人もいなかったから、今回の任務は香港警察が遂行していることがわかり、中国本土への移送はないだろうと思ったという。そして、香港警察は容疑者を扱うにしては「とても丁寧(quite polite)」な態度だったそうだ。
いずれ逮捕されると思っていたが、「こんなに早く逮捕されるとは思わなかった」という。自分のビジネスとは何も関わりがない２人の息子まで逮捕されたことは、震しょう効果を狙ったものだろうと語った。
///約40時間の拘束後、8月11日深夜に保釈され、多くの市民が声援を送るなか、ライ氏は無言で車に乗り込んだ。12日には「アップルデイリー」を発行するネクスト・デジタル社に出社し、多くの社員の声援を受ける///
(引用したBBCサイトから。保釈先でアップルデイリーの紙面を手にライ氏に声援を送る市民)
ライ氏は、出迎えた社員たちを前に、「保釈されて署の外に出た瞬間は、(アップルを応援するよ、という)市民の声がよく聞きとれず、青色派の人たち（政府を支援する側の市民）が私への抗議のために押し掛けてきて叫んでいると思ったんだ」と言って、笑いを誘いながら、多くの市民や社員の支援に感謝の意を示した。
拘置所は狭かったが、本土から香港にやって来たばかりの貧しいころに比べれば、ましな寝場所だったという。しかし全く寝られず、人生について自問していた。「今日のように収監されるとわかっていても、自分はこれまでしてきたような（反中的な）行動をとってきただろうか？」と。答えは、行動してきたというものだった。「自分の性格が今の運命を決めたと思って、この運命を受け入れて、恐れずこの道を進んでいくだけだ。たとえ収監されても、それも運命として突き進むだけだと思った」という。
(ライ氏の話しを聞くネクスト社の社員たち。引用したアップルデイリーのウェブサイトから)
約200人の警官がオフィスに乗り込んで、取材資料などを押収したのは心理的な打圧を狙ったものだろうという。自身の取り調べ中は、（国安法が施行された）７月１日以前に受けたインタビューや、ツイッターなどについて聞かれたが、緘黙していたという。
ライ氏ら10人が逮捕されたことをうけて、「アップルデイリー」の販売部数は伸び、ネクスト・デジタル社の株価が大暴騰した。これには、国安法の反対運動を起こすわけにはいかない民主派市民の怒りと、「アップルデイリー」を支援したいという市民の思いが反映されたものだと考えているという。
国安法が施行された今、香港の民主化は長い闘いに入ったとみている。冷静になり、法と自由を尊重し、これまで以上に注意を払い、創造し、闘い続けることが必要になったという。特に若者はこれまでのような過激な行動に突き進んだら、闘いはあっという間に終わってしまう。もっと頭を使い、団結し、耐えていかなければならないと語った。
(引用したBBCサイトから)
＝＝＝＝＝＝＝＝
中国政府の出先監視機関「国家安全維持公署」は12日、ライ氏らを逮捕した香港警察の対応を「断固支持する」と表明した。ライ氏は保釈金50 万香港ドル(約690万円)を払ったが、13日付「明報」は消息筋情報として、ライ氏の資産5000万香港ドル(約6億9000万円)が凍結されたと伝えている。
＝＝＝＝＝＝＝＝
