香港時間 - Hong Kong Time -

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老舗ホテル「新樂酒店」が幕を下ろす

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1952年に開業した九龍半島・ネイザンロード沿いの新楽酒店(シャムロック・ホテル)が6月15 日に約70年の歴史に幕を閉じた。あのブルース・リーや薛家燕(ナンシー・シット)など、人気俳優や売れっ子歌手などが訪れていた歴史あるホテルだけに、閉館前の最後の週末は多くの市民が別れを惜しんでやってきた。


新楽酒店は、九龍半島のメーンストリート、ネーザンロード沿いに構えるホテル。(最寄りの地下鉄駅は「ジョーダン駅」)  今では高層ビルに挟まれて目立たないが、完成当時は九龍半島一番の高層ホテルだった。

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(オープンを伝える新聞記事と当時の写真、「蘋果日報」より)


ホテル内のレストランには、ブルース・リーが幼い頃は家族で週末に食事にやってきていたそうだ。また、多くの芸能人にとって、食事をしたり芸談議に花を咲かせたりする場所だったという。夜総会(ナイトクラブ)も併設されていて、市民がダンスを楽しむなど、高級な社交場もあったようだ。

 

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(多くの香港のスターが訪れていた「蘋果日報」より)


70年代に入って香港経済が急成長を始めると、新たな高級ホテルが次々と誕生。競争にさらされ徐々に存在が薄れていく。数年前から売却先を探していたとも言われるが、最近の新型コロナの影響で宿泊客が激減し、閉館を決めたようだ。

 

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このホテル、香港好きの友人の定宿でもあったため、何度か訪ねることもあった。人が行き交う繁華街の喧騒な大通りにありながら、ホテルに一歩踏み込むと、地味でこじんまりとしたたたずまいが、落ち着いた気持ちにさせる。ホテルのドア一枚で不思議なギャップがあった。

 

ホテルに思い出がある市民が、「最後の宿泊」や「最後の晩餐」に訪れたり、記念写真を撮ったりしていて、惜しまれつつ閉店していく姿を地元紙で見て、歴史あるホテルだと知った。ネーザンロード沿いにドンと構えて、この界隈の約70年の変遷を見守って来たんだと思うと、今更ながらこのホテルが愛おしく感じられた。多くのスターたちがやってきたというそのレストランで、閉館前に食事してみたかった。残念。(写真は6月15 日夜)

 

#香港 #新楽酒店 #シャムロックホテル #新型コロナ