11月23日。朝から青空でカラッとした天気だし、抗議デモ関係のテレビ中継も、注意喚起のニュースもないので、先週末デモ隊と警察が激しく衝突した、九龍半島・チムシャツイ東部(チムトン)の香港理工大学周辺を歩いた。
果たして‐‐。ぼう然とする光景ばかりで、随所に激しい衝突のつめ跡が残されていた。
理工大は、九龍半島と香港島を結ぶ海底トンネル「ホンハム・トンネル」に隣接している。いつもなら、香港島からホンハム・トンネルを抜けたらすぐにバス停があり、そこから理工大学に簡単に入れる(大学の正門は別にある)。しかし、このトンネルはデモ隊が料金所一帯を破壊し今はまだ通れない。しかもキャンパスには依然として立てこもっている若者がいて、大学周辺は警察が囲んでいると伝えられていた。
とにかく、通常なら香港島からホンハム・トンネルに抜ける路線バスに乗った。しかし、バスは、ホンハム・トンネルより更に東にある「東区トンネル」を通り、最終目的地を目指した。当然ながら東区トンネルに行く道路は、このトンネルを利用して海越えしようという車両で、大渋滞。ホンハム・トンネルが封鎖されてからの車両での移動がいかに大変な状態にあるか、よくわかった。
東区トンネルを抜けてから、地下鉄に乗り換え、理工大に近い「ジョーダン駅」から理工大方向を目指した。路地の所々に通行止めのオレンジ色のビニールテープが貼られている。要所要所には警察が待機している。それらが広範囲に渡っていて、理工大には一般車両も市民も近づけない。チムトンにはホテルやレストランが集中しているが、歩いている人はまばらだ。
歩道は至る所でレンガをほじくり返されて土がむき出しになっている。投石用に使うつもりだったとみられるレンガが積み上げられたままのところもある。信号機はことごとく破壊されていた。道路は火がつけられ黒くなっているところもある。レンガが抜き取られた場所をコンクリートで固める作業をしているところもあった。
この日は、区議会選挙の前日。民意を示すためにも選挙中止はあってはならないとの暗黙の共通認識もある。これまで衝突エリアだった場所での過激なデモ隊による抗議活動もなく、久しぶりに“香港全域”が穏やかな一日でもあった。
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