香港時間 - Hong Kong Time -

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破綻寸前のキャセイ航空、香港政府の支援で回避

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香港のフラッグシップ「キャセイ・パシフィック航空」が「倒産寸前の危機的状況」陥り、香港政府が救済に乗り出すことになった。6月9日に発表した。香港政府は新たに発行する優先株を引き受けるとともに貸し付けをし、持ち株が4番目に多い株主になる。香港を代表する優良企業の同社が、わずか5ヶ月余りで破綻寸前に追い込まれるとは。世界を大きく変えてしまった新型コロナウイルスの破壊力は、底知れぬ凄まじさだ。

 

キャセイ航空は、現在の時価総額の倍以上の、390億香港ドル(約5400億円)の資金を調達して再編に乗り出す。うち、195億香港ドル分(約2700億円)は香港政府に対して優先株を発行。また78億香港ドル分(約1100億円)は政府から融資を受ける。残りの117億香港ドル(約1600億円)は、11株につき7株の割当増資を行い、市場から調達する計画だ。(行使価格は、取引停止前の終値よりも46.9%安い4.68 香港ドル)

 

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(Now TVより)

 

これにより、これまでは、スワイヤ・パシフィックが45%、中国国際航空が29.99%, カタール航空が9.99%だった持ち株比率が、今回の再編でスワイヤ42.26%、中国国際航空28.17%, カタール航空9.38%に続き、香港政府が6.08%になる。


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香港政府の出資前の株主構成(Now TVより)


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香港政府が出資後の株主構成(Now TVより)

 

キャセイ航空は、新型コロナの世界規模での流行で、各国・地域が旅行を制限したことから、利用客が激減。危機的状況に陥ったと説明している。また、今回融資を受けなければ経営破綻したという。

 

香港政府は、今後2名がキャセイ航空の取締役会に加わるが、あくまで短期的な出資で経営に口出すことはないと説明している。

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まさかの新型コロナの世界的大流行で、人の移動が制限される事態となり、航空業界は世界的に大不況だ。大変だとは思っていたが、ここまで深刻な状態に陥っていたとは。

 

キャセイ航空は、日本のクルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」で隔離された香港市民をはじめ、封鎖された武漢やネパール、モロッコなどにも特別機を飛ばして香港市民を帰還させていた。香港国際空港に到着した飛行機のタラップから香港市民が降りてくる姿を見た時は、「さすがキャセイ、やっぱりキャセイだ」と思うほどカッコ良かった。

 

昨年までのように、既存の航空会社(FSC)やLCC(格安航空)が世界中でバンバン飛び回り、短期間で身軽に旅行に出かけられた時代が早くも懐かしい。日本に帰省したくても、日本と香港で、それぞれ14日間の隔離が課せられたら、それだけで28日間も潰れてしまう。一日も早く新型コロナが鎮静化して、キャセイ航空はじめ世界中の航空機が空を飛び回り、我々も自由に移動できる日々に戻ってほしいと願わずにはいられない。

 

*冒頭の写真は、香港経済日報のネットニュースから

 

#香港 #キャセイパシフィック航空 #新型コロナ#経営難 #キャセイ