香港時間 - Hong Kong Time -

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鄧小平の「馬照跑 舞照跳」が新聞購読広告に

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民主派大衆紙蘋果日報Apple Daily)」の、鄧小平語録を引用した5月31日付購読用広告(写真)が目を引いた。

 

「馬照跑 舞照跳、(競馬もダンスホールもそのままだ)」

 

これは1987年4月16日、当時の中国政府の最高指導者、鄧小平が北京で行われた英中交渉(香港基本法起草委員会)でこう話し、中国返還を危惧し、海外移民の風潮が高まる香港市民に対して、香港は中国返還後も、一国二制度のもと、50 年不変だと呼びかけた、有名な語録だ。

 

広告は、この鄧小平の言葉を引用して、50 年を待たずして共産党政権が強行手段で香港市民を敵に回し、香港を末日に導いていると批判。香港のシンボルの一つ、チムシャツイの時計台をはじめ、高層ビルが崩れ去るイラスト付きで、「あなたが諦めたら、誰が香港を守るのだ?」と呼びかけ、購読申し込み用のQRコードと連絡先を掲載している。

 

私は、この広告よりも、この鄧小平語録に注目。80年代市民が熱狂した競馬は、今も相変わらず人気だが、当時の夜総会(ナイトクラブ)は消え、もはやその熱狂はない。自分の人生を考えると、50 年はあっという間にも思えるし、振り返ればやっぱり長い道のりで紆余曲折がある。

 

中国政府が治安維持のために、今後香港に直接介入することになる「香港版国家安全法」を巡って、不安で揺れる香港市民。1987年当時の市民もきっとこんな風に、先行きに不安を感じていたのだろうと察することができる。当時も早く「基本法(香港の憲法)」の詳細を知りたかっただろう、とも。

 

当時は鄧小平氏が、市民の不安に「馬照跑 舞照跳」と答えたが、「香港版国家安全法」の法制度作りの中で、香港市民の危惧を取り去るような言葉は、中国政府のリーダーから出てくるのだろうか?

 


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