香港時間 - Hong Kong Time -

香港の今を、日常から、写真と文で読み解きます

例年とは違った国慶節と中秋節

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今年の10月1日は、中国の国慶節(建国記念日)と中秋節(旧暦8月15 日のお月見)という、中国の2つの重要な年中行事が重なる珍しい日となったおかげで、香港も連日祝日だった。しかも、より一段と中国化が進んだこととと、コロナ禍で人の動きが極端だったことを感じる連休でもあった。

 

香港は、中国本土と違って、中秋節の翌日が祝日だ。お祝い行事の翌日が祝日というと変に思うかもしれないが、十五夜の日は夜更かしして満月を愛でられるように、祝日は中秋節当日ではなく翌日にするという、粋なはからいなのだ。このため、10月1日は国慶節の祝日、2日は中秋節の翌日の祝日だった。これに土日を加えて四連休となった香港市民は少なくない。

 

そんな連休だが、今年は例年とは、かなり違った光景だった。街には中国の建国を祝う飾りがかつてなく多い。しかも、今年6月30日に施行された、反体制活動を禁じる「国家安全維持法」とセットにしていたりする。

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(主要道路のポールに掲げられた祝賀の飾り付け。6月30日に施行された「国家安全維持法」とセットで)

 

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(建国71周年を祝うのろし)

 

去年は反政府デモが激化していて、国慶節を祝う飾り付けどころではなかった。それ以前も、これだけ多くの中国の建国を祝う派手な飾り付けは、記憶にある限り、ない。

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(離島のラマ島に掲げられた巨大な祝賀飾り)

 

1日の祝賀式典で、林鄭月娥行政長官が、国家安全維持法のおかげで香港が平穏になったと強調していた。そして何より、この日、中国政府の香港出先機関である中連弁のトップ、駱恵寧主任が、香港人家庭を訪問して交流した姿がテレビなどで伝えられた。

 

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(中連弁のトップが貧困層の香港市民の住居を訪ねた様子を伝える地元紙)

 

これまで中連弁の高官が香港市民と交流する姿は見たことがない。香港の中国返還後、ずっと黒子に徹し続けていた同機関が、数年前から、香港の出来事にコメントをするようになってはきていたが、市民とは別世界の組織であり、高官だった。それが街に出て、家庭にお邪魔して市民と交流するイベントまでしてくるとはーー。今後もますます香港に「物申す」、影響力の強い存在となりそうだ。

 

 

もう一つ、気になったのは連休中の香港人の過ごし方だ。これまで休みといえば、海外旅行に出かけて行く市民が多かったが、今年はコロナ禍で海外のどこにも行けない状態。そんな中で、市民がリフレッシュをしようと出かけたのは、離島や野外大仏などの観光スポット。そして、大幅割引したホテルの宿泊サービスだった。ただ、狭い香港。行き先に限りがあり、バスやフェリー乗り場は長蛇の列だった。

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(離島・ラマ島には多くの市民がリフレッシュにやってきた)

 

悲惨なのは小売店だった。例年なら、国慶節休暇は中国本土から大勢の観光・買い物客が訪れる「黄金週間」として掻き入れ時のはず。しかし、今年はコロナ対策で、当局が早い時点で海外からの入境制限をかけているから、観光客は消え、中国人客の消費もスッポリと消えた。いつもなら「黄金週間セール」「国慶節セール」などの看板を掲げる小売店がいっぱいの香港島の繁華街、銅鑼湾は、空き家となってテナント募集の店舗やアウトレットの店が目立つようになっている。

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(空き家となりテナント募集中の建物)


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(激安コーナーにはHKD10ドルの服も)


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(店内商品は全て半額の大手アパレル店)