デモ翌日のチムシャツイにあ然
昨日(10月20日)、警察の許可が下りないなかで九龍半島の繁華街・チムシャツイ地区で行われた大規模デモ。参加した市民はこう叫びながら、デモ行進した。当初の予定では、文化中心周辺から出発して、終点はチムシャツイ西側エリアの高速鉄道・西九龍駅だったが、ネーザンロードを北上して行く市民も多く、過激なデモ隊はネーザンロード沿いの地下鉄駅や警察署、中国系店舗などを襲撃・破壊した。
デモ翌日の今日(10月21日)の昼時、チムシャツイの主要道路を歩いてみたが、 その惨状は目に余るものだった。メーン道路の信号機はことごとく壊されていた。しかし、 交通整理に当たる警官は全くおらず、 車両と人が阿吽の呼吸でお互いに道を譲り合っていた。
(信号機は壊されたので、タイミングを見計らって横断するしかない)
夕方、 また、驚いた。 4時間程度の間に、昼間見た光景とは変わっていたからだ。支店が襲撃されて営業停止に追い込まれた中国銀行の店舗は、 表側はきれいに掃除され、白い板でおおわれていた。
【ランチタイム】支店内の椅子やテーブルが表に放置され、窓ガラスの破片も散らばっている広東道の中国銀行の支店。
【夕方】白い板で表側は全て覆われた。しばらくの間支店の閉鎖を伝える張り紙も。
いたずら書きがしてあった地下鉄チムシャツイ駅出口は白いペンキが上塗りされたり、消されたりして、書き込みが消された。
【ランチタイム】地下鉄チムシャツイA出口。 防護用の板には黒スプレーでメッセージが書き込まれ、その上の「尖沙咀站」のガラスの表示板は破壊され、破片が階段に散らばっていた。
【夕方】防護用の板に黒スプレーで書かれた書き込みは全て消されていた。
【ランチタイム】A出口の脇。さまざまな書き込みがある。
【夕方】書き込みは全て消されていた。
【ランチタイム】別のチムシャツイ駅出口
【夕方】書き込みは、吹き消されていた
(警察の放水車が放った水色の水で、青く染まった道路。放水車の水色の水はモスクにも向けられ、水色に染まったことなどから、 警察幹部と行政長官が直接、お詫びに赴いている)
さすがに、 チムシャツイは中国人観光客が集中する繁華街だから、 中国政府や香港政府を批判する書き込みは本土客に見て欲しくないから、速攻で消したのだろう。(実際、昼時は普通話《標準中国語》を話す人たちが、立ち止まって、壁や板に貼り付けられたポスターを熱心に見たり、写真を撮ったりしていた)。
中国銀行の支店の破壊ぶりには茫然とした。その店舗の前で、やってきた顧客に近くの別の支店を案内する行員さんがとても気の毒に感じられた。漢方薬の販売店「北京同仁堂」や書店「中華書局」、 総合家電メーカー「小米」などの中国系店舗も襲撃された。中資系企業をこんな風に攻撃するようになって、中国本土の人たちの感情はいかばかりか?それとも、わざと中国政府を刺激するためにやりだしたのか?
デモは、 一連のデモでの警察官の武力行使を調査する「独立調査委員会の設置」などを訴えているが、デモで顔を覆うマスクなどの着用を禁じる「覆面禁止法」の施行を受けて、破壊活動は一段と激しくなった。スローガンも「香港人加油」から「香港人反抗」に変わった。
【チムシャツイ地下鉄出口。 掘り起こされたレンガが前日の惨状を物語る。】