香港時間 - Hong Kong Time -

香港の今を、日常から、写真と文で読み解きます

国慶節前日、緊張高まる香港

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「あんたの家の近所、明日デモがあるじゃん。 出社して、ちゃんと家に帰れるの?」

「さぁ、どうだろう。ヤバいよ。でも、明日は香港中が危険だから、どこも一緒。君も気をつけてよ」


明日(10月1日)は中国で一番重要な国慶節(建国記念日)。 祝日だけど、止むを得ず出社する会社の同僚に、 別の同僚が冗談混じりで語りかけ、こんなやり取りをしていた。

 

中国の建国70周年を目前にして、 香港では6月の大規模デモ以降、 最大の緊張が走っている。デモ情報が集まるSNSでは、 デモ参加を呼び掛ける書き込みやポスターがどんどんアップされていった。深水埗、湾仔、銅鑼湾、黄大仙、屯門、沙田など、 香港全域で抗議活動への参加を呼びかけている。中には、 ショッピングモールに火をつけて爆破させる計画や、 死を覚悟で闘う戦士を募る呼びかけもあり、警察は「非常に、 非常に危険な状況」と警告。市民の携帯電話に注意喚起のメッセージを送っている。( 警察からの注意喚起メッセージは、8月18日、8月31日に続き 、3度目)

 

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(SNSで告知された抗議デモ計画の一例)

 

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(警察から携帯に送られてきた注意喚起メッセージ)

 

市民の間で警戒感が増しているのは、昨日(9月29日) のデモ隊と警察の衝突が、まるで明日の“予行練習” をしているかのように、“超”がつくほど過激だったからだ。 警察は威信をかけて、一方のデモ隊は必死の覚悟で、 相手に立ち向かっている感じだった。 午後の早い時間から大荒れになり、拘束者数は146人(12歳‐53歳)に上り、6月からの単日で過去最高数だった。警察は328発の催涙弾、306発のゴム弾、95 発の布袋弾、79発の海綿弾を放った。

 

デモ隊の覚悟は、「雨傘運動」から5年を迎えた9月28日に香港島・金鐘で行われた抗議集会場脇の、 政府本庁舎一帯に書きなぐられた言葉や、張り付けられたポスターで も見てとれた。「10月1日に会おう」「10月1日は国を祝うのではなく、葬る日だ」など、”政府への挑戦状” ともとれる書き込みがあちこちに残されていたからだ。

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明日は、放火対象に挙げられたり、 近くで抗議集会があるショッピングモールは軒並み、 終日閉店することになった。地下鉄は太子、金鐘、 湾仔の3駅は停車しないほか、 市内と空港をつなぐエアポートエクスプレスが午後2時から香港駅‐ 空港駅のみになるなど、まさに非常事態だ。

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(危険な3駅は朝から通過。Umagazineより)

 

中国本土では、建国7 0周年で華やかな閲兵パレードなどが行われる予定だが、 香港の祝賀花火は取り消された。香港では、火は火でも花火ではなく、 戦火の火の手が上がることになりそうだ。