香港時間 - Hong Kong Time -

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何を暗示?李嘉誠氏が地元紙に全面広告

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あの李嘉誠氏(91)が、「逃亡犯条例の改正案」の抗議活動が過激化していることを受けて、今日(8月16日)の香港の主要紙に、一香港人として2種類の全面広告を出した。


李氏といえば、商才にたけ、昨年5月までコングロマリットの「長江和記実業」を率いた香港を代表する華人。「超人(スーパーマン)」の異名を持ち、一挙手一投足は常に注目されている。発言の影響力は、香港政府トップの行政長官を凌ぐことさえある。まさに神的人物だ。


広告は2種類。

一つは「暴力」の文字に斜線を引き、「大義は最悪の結果になりうる」「愛で怒りを鎮めよ」と警告。「中国を愛し、香港を愛し、自身を愛せ」「自由を愛し、包容を愛し、法治を愛せ」とメッセージを送った。

 

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(「大公報」一面)


もう一つは、2016年に若者が旺角暴動を起こした際に引用した「黃台之瓜,何堪再摘」という、唐代の李賢の詩を再度用いた。当時、李氏は記者会見で「政治に対する考え方は違っても、香港全体の利益を考えるべきで、香港をおとしめることをすべきではない」と訴えた。今回も同じことを言いたいのだろう。


李氏は今日、スポークスマンを通じて、「デモ隊の声は政府に届き、政府は解決策を見つけるために知恵を絞っている。若者は感情に走って将来後悔することになるようなことはするべきでない」と、警告とも受け取れるメッセージも出している。


引退後は、表舞台から姿を消していたが、メッセージとはいえ、ここにきての登場は何を意味するのだろう? リスクをチャンスと捉え、無駄な動きをせず、タイミングを読むのが天才的な人だから、きっと何かあるはずだ。


確かにおかしな点がある。

12日に予定していた、主な地下鉄駅で電車の運行を妨害する「不合作運動」は、突然中止になった。今日予定されていた、銀行で香港ドルを引き出して金融システムに衝撃を与えようという運動も、ニュースが出てこないということは、失敗に終わったとみていいだろう。


水面下で何かが大きく動いた可能性があると言ったら、言い過ぎか?


18日には、市民200万人が参加したデモを主催した団体が、再び香港島のビクトリアパークで集会を予定している。(デモ行進は安全上の懸念から認められなかった) このデモがどんなデモになるのか、注目する必要がありそうだ。