香港時間 - Hong Kong Time -

香港の今を、日常から、写真と文で読み解きます

悲鳴あげる観光業界、でも市民はー。

f:id:hongkong2019:20190831035844j:image

 

観光客激減ー。そりゃそうだよね。一部とはいえ「玉砕」覚悟で過激化する一途のデモ活動が2ヶ月以上も続いているとあっては、いくら「グルメ天国」「上がる香港」と言われても観光客はリスクを負ってまで来るはずがない。というわけで、香港経済を支える重要な柱の一つ、観光関連業界は深刻な状況に陥っている。が、観光業とは無縁の市民からは「観光客が減って歩きやすくなった」「レストランも予約なしでも入れる」と、まだまだ余裕の声が聞こえてくる。

 

6月上旬から始まった、「逃亡犯条例」の改正案に反対するデモが過激化する中で、日本、アメリカ、韓国など約30カ国・地域が、自国民に対して香港への渡航を控えるよう警告。7月中旬から観光客は激減しており、ついにホテル、レストランなどが悲鳴をあげだした。小売業界の7月の総売上高は前年同月に比べて11.4%落ち込んだ。宝飾品の売上高に至っては4割減だった。中華レストランでは売り上げが2-3割落ち込んだり、1人当たりの平均消費額が半減した店もある。

 

実際、昨日(8月29日)、キャセイ・パシフィック航空の大阪ー香港便で香港にやってきた日本の友人は、「座った席の横一列は、8席中自分も含めて2人しかいなかった」と、あまりのガラガラぶりに驚いたという。中国人観光客でごった返す九竜半島の繁華街・尖沙咀は今も多くの中国人客が闊歩しているが、香港島の繁華街・銅鑼湾からは普通話(標準中国語)が以前より格段に聞こえなくなったと実感する。

 

ホテルは、一泊72香港ドル(約980円)と破格の宿泊料金を設定するところや、無給休暇の導入、有給休暇の消化を推奨するところもでてきた。小売店も割引広告を張り出す店が増えた。

 

f:id:hongkong2019:20190831040047j:image

 

観光関連業界では、デモが経営にもたらす打撃は2003年のSARS(新型肺炎)の時よりも深刻と捉えている。しかし、観光業界とは無縁の市民からは「混雑が減り、街は以前のように普通になった」と歓迎する声も。爆買い中国人観光客の急増で小売店やレストラン、ホテルはおおいに恩恵を受けたが、そうでない市民は、物価上昇や公道をまともに歩けないほど溢れる観光客に、自身の生活を圧迫されていると不満を募らせていたからだ。

 

この状況を歓迎し、まだまだ余裕をみせる市民がいるということは、市場はもっと下がる余地を残しているということだ。上昇の一途だった不動産も下落を始めており、デモをキッカケに行き過ぎた市場もようやく調整が始まったといえるだろう。