香港時間 - Hong Kong Time -

香港の今を、日常から、写真と文で読み解きます

“犯人探し”で高額懸賞金

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ある愛国民間組織が、8月27日付け新聞(主に親中派新聞)の一面に出した全面広告を見て、ぶっ飛んだ。国旗を海に投げ捨てるなど国家を侮辱する行動を起こしたデモ参加者に巨額の懸賞金をかけるという告知だったのだ。「逃亡犯条例」の改正案を巡って、真っ二つに割れる香港。お金にうるさい香港人社会とはいえ、金に物を言わせて密告させ、悪事をあばきだそうという動きまで出てくるとは。これまでの自由で寛容な国際都市とは逆光する、重苦しい社会になってきた。

 

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組織の名前は「8・03行動」。「8・03」は、九龍半島・チムシャツイの埠頭近くで掲揚されていた中国国旗がビクトリア湾に投げ捨てられた8月3日を指す。

 

対象事件は30件で、懸賞金は、20万香港ドル(約270万円)から100万香港ドル(約1350万円)までさまざま。例えば、中国政府の出先機関「香港連絡弁公室(中連弁)」の本庁ビルの国章を黒く塗りつぶした人物の通報には100万香港ドル、立法会(議会)の香港特別行政区の区章を黒く塗りつぶした人物の通報には50万香港ドル(約675万円)といった具合だ。

 

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「8・03行動」は、情報内容を精査した上で警察に通報。該当者が逮捕され裁判に持ち込まれたら懸賞金を獲得できるというシステムらしい。金額は一件ごとの総額で、1人で全額手にすることもあれば、分配される場合もあるという。

 

懸賞金を巡っては、全国政協副主席で前行政長官の梁振英氏が8月3日、国旗を海に投げ込んだ人物を通報したら100万香港ドルを出すと自身のフェースブックで表明。また、懸賞金基金を設立して、「逃亡犯条例」の改正案反対に乗じて国家を侮辱したり、警察を襲撃したり、破壊活動をする暴徒の逮捕に協力しようと呼びかけていた。「香港01」では、「8・03行動」のサイトの保有者が同氏と同姓同名と伝えているが、本人かどうかは不明だ。

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うーん、香港には「拝金主義」なるものがはびこっているけど、私が見てきた多くは市場主義経済の論理からくるものが多かった。もしくは、タバコのポイ捨てような罰金制度。お金で市民を動かして”犯人探し”をしようという発想に違和感を感じてならない。これって本当に香港で起こってること? 別の都市じゃないの?