香港時間 - Hong Kong Time -

香港の今を、日常から、写真と文で読み解きます

愛国派vs民主派、お昼どきに罵り合い

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9月18日のお昼どき。中国人買い物客でにぎわう九龍の繁華街・尖沙咀のハーバーシティー内にあるスタバでコーヒーを飲んでいたら、急に近くでワーッと騒ぐ声が聴こえて、人だかりができていた。「エッ?今日のお昼に予定されていた親中派のデモは中止になったはずなのに?」と思っていたら、吹き抜けで広場になっている場所に香港の区旗と中国の五星紅旗を手にしている人たちが集まっている。


このビルは一階から三階までが、ブランド店などがひしめくショッピングモール。その上階はオフィスだ。ランチタイムとあって、見物客が各階から、広場の様子を眺めていた。


程なくして、一人の男性が広場中央で大きな国旗を振りかざし、30人ぐらいの人たちが手にした小旗を振りながら国家を歌い、「警察頑張れ!」「中国頑張れ!香港頑張れ!」と声をはり上げた。


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(ショッピングモールでたなびく五星紅旗)


先週末、九龍の住宅団地内のショッピングモールで、親中派が国家を歌い政府や警察を支持すると訴えてデモをしたところ、黒シャツら反中国的な市民との間で取っ組み合いが起こったばかりだ。


流石に、オフィスビルのランチタイムだから、暴力行為に発展することはなかったが、愛国派がビル内を行進しはじめたところで、それまで黙っていた市民らがが、阻止。その他大勢の見物客も合わさって、愛国デモ隊に向かって「光復香港!時代革命!(香港を取り戻せ!時代の革命だ!)」「返大陸(中国本土へ帰れ!)」と大合唱を始めた。

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(集まってスローガンなどを叫ぶサラリーマンたち)


どうやら、愛国デモの主催者は参加者の安全を考慮して中止を決定したのだが、この中止に不満を持つ支持者らがデモを決行したようだった。ビルを出た後もデモ行進をして、「逃亡犯条例」の改正などを反対する市民らと罵り合いとなり、警官隊が駆けつけたらしい。


私は今回、たまたま居合わせて、一部始終を見たが、普段は比較的静かなこのビル内に、国歌も、民主派のスローガンも、大きく響き渡った。まさに真っ二つに割れている、今の香港の縮図を垣間見た思いだ。いよいよこんなオフィスビルにまで、政治の衝突が及んで来ることになったのか。それにしても、平日の昼間からあれほど激しく罵り合って、午後の仕事は手についたのだろうか?