香港時間 - Hong Kong Time -

香港の今を、日常から、写真と文で読み解きます

長引くデモ、中秋節にも影響

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明日(9月14日)は、香港人にとって欠かせない年中行事の一つの中秋節。家族団欒の大切な日だ。例年ならこの時期、月餅商戦や中秋節飾りで賑やかだが、今年はどうも控えめだ。この行事と縁の薄い私などは、数日前まで明日が中秋節であることに全く気づかなかったほどだ。


例年なら、7月ぐらいから月餅商戦が始まる。8月に入れば本格化し、地元最大手のテレビ局、TVBでは月餅各社のコマーシャルがひっきりなしに流れるようになる。ところが、今年は、少なくとも私はTVBで月餅のコマーシャルを全く見かけていない。かろうじて、地下鉄の主要駅で見かけるぐらいだ。


なぜか?それは、やっぱり、6月以降続いている「逃亡犯条例改正案」の撤回など、5つの要求(今は一つ実現したので残りの四つ)を訴える抗議デモと密接な関係がありそうだ。


香港人の友人の見立てはこうだ。

TVB親中派テレビ局。そのTVBでコマーシャルを流そうものなら、デモ隊の怒りに触れて不買運動につながりかねない。月餅販売店は、そんなリスクを回避するために、政治色のついたテレビ局での宣伝を避けたのよ。地下鉄駅構内は公共性が強いから、リスクは低いんでしょうね」。

なるほど、その可能性は高い。


逆に政治色を出してしまい不買運動に繋がってしまった月餅メーカーもある。大手の大班麵包西餅集團で、創業者の子息が自身のフェースブックで、デモを支持する書き込みをした。このため中国本土では「暴徒を支持している」と批判され、同社の製品が一斉にネットショッピングから姿を消したという。同社は、「個人と会社は別」と謝罪をしたが、中国本土での販売に打撃を与えてしまったことは否めない。

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(大班の月餅が中国のネット上から姿を消したことを伝える「香港01」)


異変はオフィスでも感じた。景気が悪くなったからか、先行きを警戒してか、取引先からオフィスに贈られてくる月餅が激減。今週になって初めて届き、私はそこで中秋節の日にようやく気付いたというわけだ。


香港人の同僚は、「デモがずっと続いているから、気分的に中秋節どころではない」という。毎日次々とデモ関係の新しい動きが出てくるので、意識も時間も関心もデモ関連に集中しているうちに中秋節を迎えてしまった、という香港人も少なくなさそうだ。


明日は、満月を愛でるために最寄りの公園に繰り出す香港市民が少なくないはずだが、そこでみんなで手をつなぎ、残りの四つ要求を訴える活動も予定されている。携帯電話のライトを灯して作る光の輪は、満月の光に負けないぐらい夜空に映えることだろう。