香港時間 - Hong Kong Time -

香港の今を、日常から、写真と文で読み解きます

香港島ハイキングで野生の猪たちに遭遇

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2月28日の昼下がり。香港島の繁華街から山側に入ったダム周辺で、野生の猪2組5頭に遭遇した。天気もよかったから、というわけではないと思うが、1頭などは相当な至近距離だったにも関わらず、人の気配を気にすることなく、水辺に沿って食べ物を探しながらのんびりと歩いていた。

 

お昼過ぎ、出かけて行ったのは、ダムがある自然公園。香港島北側の中心地・湾仔から山側に入っていき、山の中腹から香港島南側に抜ける2~3時間の簡単なハイキングコースだ。南側に抜ける途中に香港仔上水塘と香港仔下水塘という2つのダムがある。そのうちの下のダムの眺めがすこぶる綺麗なのだ。

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途中、遊歩道を歩いていたら、前方で大勢のハイキング客が側溝の柵越しに林の中を眺めている。なんと、彼らの前方には、野生の猪の親子がのんびりと寝転がったり枯葉を掘り返して遊んでいた(餌を探していたのかも)。この親子、しばしハイキング客を楽しませたあと、やがて山林の奥の方へと消えていった。

 

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香港でハイキング途中に、野生の猪や牛に遭遇するのは珍しいことではない。牛は以前からあちこちでみかけて慣れているが、猪はあっても遠目でしかみたことがなかった。しかし、昨年12月、山道に突然一頭の野生の猪がヒョッコリ顔を出したと思ったら、静止してジッと見つめられたことがあった。私の頭の中には、「猪突猛進」という言葉が浮かび、今にもスタートダッシュしてこっちに突進してくるのではないか、と肝をつぶした経験がある。結局、対峙したのも束の間、「フン」といった素振りで、向きを変えてゆっくりと竹藪の中に入っていった。良かったと胸を撫で下ろしたら、今度は別の猪が私の横の林からゴソゴソと出てきて、また肝をつぶすという珍事があった。

 

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その時一緒にいた香港人の友人は、「香港の野生の猪は人に慣れている。全然野性っぽくないから大丈夫だよ」と平然としていた。今回も、大勢のハイキング客は、怖がる風でもなく、むしろ遭遇したことを喜び、愛着をもって眺めているようですらあった。やっぱり香港では、野生の猪と人間の距離は、私の頭の中にある距離感よりもはるかに近いらしい。

 

「今日は、雨だった昨日と打って変わって、天気もいいし、猪4頭に出くわすなんて、面白いハイキングだな」などと思いながら、下のダムに降りて行ったら、なんと前方の水辺でまたもや猪一頭が、こちらにお尻を向けている。近づくと、土を掘り返しては口をモグモグさせている。人の気配を気にする風でもない。更に近づいて、猪を追い越して対面する位置に回って目を合わせても、一瞥しただけで、また食べ物を探し出す。人が歩く水辺のこんな所に白昼堂々とやってきて、人にお構いなしに餌をさがしているとは恐れ入った。これが香港の繁華街からわずか2時間ぐらい歩いたところで目にする光景なのだ。

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私の場合、途中、ベンチに座って持参したお昼を食べたり、写真を撮ったりしていたので、のんびり歩いて3時間ぐらい。この自然公園の散歩コースを出たらすぐに住宅街。タイミングよく家の近所に行くバスが来たので、そのまま帰宅した。そうじゃなかったら、どこかの飲食店に入って下午茶(アフタヌーンティー)をするつもりだった。香港は、交通が便利で、手軽に自然に触れるハイキングコースが沢山あるのがいい。しかし、こんな猪日和になるとは思いもよらない2月最後の昼下がりだった。