香港時間 - Hong Kong Time -

香港の今を、日常から、写真と文で読み解きます

牛年ということで、牛山に行ってきた

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2月12日に香港は春節牛年を迎え、名実ともに2021年が始まった。春節休暇中に、昨年の年の瀬(と言っても西暦2021年1月だけど)に予定しながら行けずじまいだった山に行こうということで、春節2日目(大年初二)の2月13日に水牛山と黄牛山に登ってきた。

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いつも参考にしているハイキングサイトではこのコースを「黄牛石城」と紹介している。偶然にも、ネズミ年には行けず、牛年に行くことになったが、これがまさに牛年新年に相応しい山登りとなった。写真だけしか見たことがない私の勝手な想像だけど、あの世界遺産熊野古道のような、神がかった道を抜けて牛山にたどり着くとは想像だにしなかった。

 

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水牛山と黄牛山は新界東部に位置する。2つの山は尾根続きで並んでいる。標高600メートル程度だが、難度は高級。ここに巨大な石群があるので、「黄牛石城」と言われるらしい。

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まずは、西貢に行くミニバスに乗り、蠔涌村で下車。歩き出すと「車公廟」があり、多くの市民が参拝している。「車公廟」といえば、沙田の「車公廟」が有名だけど、こんなところにも同じ名前であるとは知らなかった。(で、調べてみたらこっちの方が470年以上の歴史ある廟。言わば本家本元。観光客にも有名な沙田の方は後から建てられたものだが建設時期は不明。確認できるのは1890年に再建されたことだけだそう。なんだ、そうだったのか。)

 

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車公廟を後にして、いくつかの村を抜けてようやく山道に着く。途中行き交う人の9割は西洋人。このエリアの環境は西洋人が好きそうだしな、と納得する。

 

山道を登り出してしばらくしたら、年配のおじさんたちが下山してきた。「新年快樂!(あけましておめでとう!)」そんな挨拶を交わしながらすれ違った。いい気分。それにしてもこの時間に下山とは早いなぁと思った。

 

山道は大小さまざまなな石と岩を樹木が覆う。岩の合間を水が流れる。木洩れ日の中、石畳の道を歩いて行く。とても気持ちがいい。

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程なくして、木の精霊を祀ったようなお供えがあった。なるほど、さっきすれ違ったおじさん達が、山の神にお供えの蝋燭の火を灯し、線香を立てにやってきていたのだった。

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さらに登って行くと、山道脇にお供えの線香と共に水やみかんなどが。

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その先に進むと、今度は祖先を祀ったとみられる廟が。風水的にいい立地なのだろう。元旦に爆竹を鳴らしたとみえ、地面に真っ赤な爆竹の残骸が。

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森のエネルギーを全身に浴びている感じで、まさにパワースポットっぽい。思い浮かんだのが、熊野古道の写真だった。更に歩くと、またもや神への祈りが書かれた赤い紙が木に飾られている。

 

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ここから先は、ほとんどルートのない山道。誰かが木に結んだ道標のリボンを頼りに藪の中を突き進む。

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やがて視界が開き、見えたのが尾根を挟んでそびえる2つの山。右手が水牛山。左手が黄牛山。

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途中で東に目を向けると眼下に西貢方向の景色。停泊している無数の白いヨットが、アヒルの集団に見える。香港人は本当にお金持ちだなぁ。

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山の頂上。岩に登って記念写真を撮る人たち。

 

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巨大な岩が重なり合っている。

黄牛山を西南に下ったところに石城が。そのうちの一つ、石の窓に見える「石天窓」は最も有名らしく、大勢の登山者が記念写真を撮ろうと並んでいた。私は、屋外とはいえコロナ禍だし、遠目で見て引き返す。

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下山に向けて石芽山に向かう頃には、西の空がうっすらと赤みがかっていた。きっとここから見る夕日は綺麗だろう。交通の便もいいし、神聖な山道も、藪の中も、牛の山々も楽しかった。次回は、石天窓と夕陽を見に来たい。

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