香港時間 - Hong Kong Time -

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民主派圧勝でおばあちゃんの心配ごと

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11月24日に行われた、4年に1度の香港区議会選挙。日本のメディアも、民主派の圧勝をお祭り騒ぎのように大々的に取り上げていたようだけど、光があれば、そこには陰だってあるのだ。

 

私の地区も御多分に洩れず、ベテランで現職の男性議員(53)が弱冠23歳の女性に僅差で敗れた。この男性は選挙管理委員会から送られてきた立候補者の資料の中で自身を「独立派」と紹介していたが、香港人の友人からSNSで回ってきた、民主派勢力が作ったとみられる全区議選候補者リストによると「親中派」。そして対抗馬の女性は、選管の資料では「独立派」だったが、SNSのリストでは「民主派」に属していた。彼女も区議席の約9割を獲得した民主派の1人となった。

 

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(前回選挙時の議席獲得数=CATVより)


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(今回の選挙の議席獲得数=CATVより)

 

そして本題。

昨日の自宅マンションでエレベーター待ちをしている時に、おばあちゃんが管理人に区議選の結果について愚痴をこぼしていたのが漏れ聞こえた。要は、「彼女で大丈夫か?」「これまで現職議員がしてくれていたあのサービスは、あの子になっても受けられるのか?」「どんなことをしてくれるのだろうか?」といったものだ。

 

おばあちゃんの心配はごもっとも。私は今のマンションに住み始めて3年になるが、中秋節が近づけばこの男性議員から月餅の引換券が、春節が近づけば「年糕(お餅)」の引換券が郵便ポストに入っている。他にも端午節にはチマキの引換券もあったか?そういえば、証明用写真が格安で撮れる優待券も配っていたような? 私は、仕事もあるし引き換え時間に間に合わないから無駄だったが、ご老人たちはきっと、その都度楽しみにしていたに違いないのだ。

 

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(当選し、支持に感謝するメッセージが貼り付けられた選挙の横断幕)


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(連続当選を果たせず、過去3期12年に渡って支持してくれたことに感謝するメッセージを貼り付けた選挙の横断幕)

 

今のマンションに引っ越す前に住んでいたエリアでは、こうした物品サービスをその地域の区議員から受けたことがない。しかしここは、下町も下町。歴史的にも親中派の地盤みたいなところだし、こんなサービスもここの住民にとっては有益なのだろう。

 

今回は、政府への抗議デモが長引く中で、区議選は政府に対する住民投票にすり替わってしまったように思う。

 

何も折々につけて月餅券や年糕券などを配れというのではない。本来、区議員は、地元市民のために民生問題について取り組み、住民がより暮らしやすいよう環境を改善していくのが一番の任務。だから、区議選で当選した人たちは地域住民のために尽くすことを忘れないでほしい。私には、おばあちゃんはそう言っているように聞こえた。

 

#香港区議会選挙 #香港デモ #民主派