貯水池跡からロマネスク建築の遺跡がー!
かつて配水庫(貯水池)だった九龍の下町・石硤尾の丘の山頂で、100年以上前(1904年)に建てられたロマネスク築物の遺跡がほぼ完全な状態で見つかり、連日、話題になっている。
この貴重な建築物が見つかったのは、主教山(Bishop Hill)の丘の上。今年10月に始まった工事で、さら地を掘り起こしたら、高さ約6メートルの柱が約30本も立った状態で、広範囲なロマネスク様式の地下空間が浮かび上がったのだ。
これを知った同地区の区議員らが、政府に対して取り壊し工事の中止を要求。これをきっかけに、この存在が広く知られるところとなり、一気に話題沸騰となった。これほどの遺跡が残っていた想定外の事態に、政府は工事を停止して、歴史的価値などを再検証する。
28日に一部メディアが、区議会議員の話や、存在を聞きつけた一部市民が遺跡とともに記念写真を撮っている姿などを報道。今度の週末には見物客が殺到するだろうと思い、29日午後に行ってみるとー。平日にも関わらず見物客はひっきりなしに来ていたが、すでに立ち入り厳禁。山頂のさら地を金網でグルリと囲っていて、一歩も近づけなかった。見物客は金網の向こうを見ながら想像するしかなかった。う〜残念!
(侵入禁止の張り紙)
(ロマネスク建築の貯水池は、このさら地の下にずっと埋もれていた)
その場に居合わせた地元市民の陳雲誠さんによると、前日の日中は、入ることができて、お昼の作業員の休憩中に、現場に降りて撮影できたのだという。羨ましい!
で、陳さんが、居合わせた私たちに写真を見せながら、地下の様子を説明してくれた。その上、貴重な写真やビデオまでシェアしてくれた。嬉しい!そして感謝!
金網の壊された部分を補強していた作業員によると「昨晩(つまり最初の報道があった当日夜)不法侵入した市民がここから入ったからね。出てきた建築物は崩壊する危険があり、危ないんだ。おかげで我々は夜も残業で、不法侵入を防ぐ見張り作業も増えた」んだそう。
(外部からの侵入を防ぐため、金網を補強する現場作業員)
今日(30日)もテレビで専門教授らが、いろいろコメントしていた。遺跡を残して観光資源にすべきだという市民もいた。
(29日、主教山で遺跡保護を訴える人たち)
香港が中国に返還されることになったのは、水問題があったからとも言われている。資料によると、この貯水池は1904年に完成したようだが、今回のこの遺跡の出現で、大昔に飲料水をいかに確保して市民に供給するシステムを作り上げていたのかを知る、いいキッカケになりそうだ。
注)説明がない「遺跡写真」は、すべて、陳雲誠さんが撮影したもの。許可を頂いて掲載しています。