6月13日、新築及び中古の分譲公共住宅の抽選が行われ、多くの市民が固唾を飲んで抽選結果を見守った。8926世帯分の物件放出に対して25万人余りの市民が応募していたのだ。
(抽選結果を伝えるCATVニュース)
会社の若手同僚たちがワイワイ騒いでいたので抽選の様子を見てみたら、49の数字の中から6つの数字を当てる香港の宝くじ「マーク6」の抽選風景を彷彿させるものだった。
(中継で次々と加えられていく当選番号)
というのも、音楽が流れる中で、職員がパソコンのボタンを押すと、数字が書かれた丸い玉がスクリーン上でクルクル回り、当選番号が選ばれていく。この一連の抽選システムが、マーク6そっくりなのだ。
次々と表示される2桁の番号は、応募者に割り振られた番号の末尾の2桁だった。その前の数字が何番だろうが、とにかく末尾の2桁が該当すれば、分譲公共住宅の購入権を得ることになるのだそう。
(今回放出された7か所の分譲住宅)
香港は不動産がめちゃ高く、一般市民の手取りでは、「飲まず食わずで25年間過ごさないと家が買えない」と言われるぐらい、天の上の買い物だ。公共住宅の場合は民間マンションの半額程度の負担で買えそうなので、応募者が殺到するのだ。
それにしても、政府が行う抽選で、音楽まで流して、ネット中継するとはビックリ。公共住宅購入の権利を得るのもマーク6で1等を当てるのと同じ様に狭き門ではあるのは確かだが。
ちょうど、CATV(有線テレビ)が返還25年の公共住宅(賃貸物件)についてわかりやすくまとめていたので、併せてUPする。
データで見る返還25年: 賃貸用公共住宅に入居できるまでの平均待ち時間と、政府高官/行政長官の発言
1997年:平均待ち時間は6.6年
第二期董建華行政長官時代の住宅局長「分譲住宅の放出をやめ、賃貸住宅を増やす」
2002年:平均待ち時間は3.2年
曽蔭權行政長官「3年待てば持ち家を持てるようにするのが目標」
2005年:平均待ち時間は1.8年
梁振英行政長官「5年の任期中に約6万5000戸の公共住宅を建設する」
2012年:平均待ち時間は2.6年
林鄭月娥行政長官「過去4年間で約4万7000戸の公共住宅を建設した」
2017年:平均待ち時間は4.6年
林鄭月娥行政長官「今後10年で約33万戸の公共住宅を建設する」
2022年:平均待ち時間は6.1年
つまり香港の住宅問題は解決どころか悪化していることが一目瞭然。そしてこの住宅問題が、雨傘運動や大規模反政府デモの背景の一つとされている。7月1日に就任する李家超氏は住宅問題の改善を重要課題に掲げている。どこまで改善されるのか注目される。