香港時間 - Hong Kong Time -

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香港の夏の風物詩、イカ釣り初体験

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香港の初夏の風物詩?といえば「夜のイカ釣り」だが、先日、遂に私もイカ釣りデビューをした。

 

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素人でも釣れて楽しめるという触れ込みでこの時期になると、イカ釣りツアーが多数登場するが、イメージしていたツアーと違って、なかなか貴重な体験だった。

 

人生初のイカ釣りは、土曜の夜(5月15日)。午後6時30分から午後10時30分までの4時間。30分ほど移動して沖に出てイカを釣る。定員は10人。料金は250香港ドル(約3500円)だった。

 


連日気温30度を超え、すでに灼熱の香港。

 

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船場所の香港島東部の西湾河埠頭で待っていると、やってきたのは小さなボート。私と友人ら3人が乗ると、対岸の三家村埠頭に向かう。ここで、真っ黒に日に焼けたオッチャンや、貫禄のいいオバチャンが、乗り込んできた。「イカ釣り=夏の遊び」程度しか頭になかった私は、「この人たちもイカ釣り遊び?」と、やや上から目線。その30分後、彼らがとんでも無くスゴイ、オッチャン&オバチャンだと思い知らされるとも知らずに。(反省!)

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両側に5人ずつ座れるように座席が仕切られているボートは、満席になった。

 

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「さぁ、行くぞ!」。船長が大声で叫び、埠頭を出る。我々は、夕暮れ時に差しかかったビクトリアハーバーを、超高速で東へ東へと進む。横手に見ていた高層ビル群がやがて視界から消えて背中にまわり、どんどん遠のいていく。今度は島々が横や前方に現れる。青空がゆっくりとピンク色に変わって行く中を、船は小型ボートとは思えない速さで突き進む。

 

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なんて綺麗な景色なんだろう。私は、海風を全身に浴びて、大海原を駆け抜けている。たまらない爽快感に興奮し、嬉しくてたまらなかった。こんな小さくて窓もない船で私は海の中にいる。これだけでもう元を取ったと思った。



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が、空の色が暗闇へと変化するように、私の気持ちも変化する。時折り船を襲う大波に身を委ねるたびに、胸の辺りがーーー。キ・モ・チ・ワ・ル・イ。乗船前に酔い止め薬を飲んだのに、効かない‼️ 肝心なイカとの闘いの前に、私は船酔いとの闘いが始まってしまった。

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なんとか持ちこたえて目的地に着くと、すでに大小の船が何艘も浮かんでいる。所々にものすごい白熱灯をつけた船が浮かび、小舟がそれを囲んでいる。船長は我々のボートも、白熱灯がある船の側に付けた。イカは明るい光に寄ってくるからだ。

 

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「よーし、いいぞ」。船長のこの一言を合図に、皆が一斉に釣糸を海に放った。するとすぐに「おー、デカイなぁ」という声。なんとあの貫禄のオバチャンがイカを握りしめて、したり顔だ。ほどなくして、オッチャンたちも続々と釣りあげる。「えっ?ナニコレ。彼らは何者?スゴイ」と心の中で叫ぶ私。

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 一方、私と友達らが座った位置は、白熱灯付きの船に面していなかったから、光の恩恵を受けられない。友人が、最初に釣ったのはフグ。私は、船酔いもあって、気もそぞろだ。

 

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(イカじゃなくて、フグが!)

 

釣り方はいたってシンプル。イカフックをつけた釣竿を海にたらし、1回、2回、3回と釣り糸を引っ張ったり戻したりした後、しばらく待機する。そこにイカが食いつくのを待つのだ。


私がチンタラと釣り糸を上下に動かす中、オッチャン、オバチャンは絶好調。友人らがポツポツ釣れ出したが私はゼロ。と、その時、釣竿を引く手がやや重い。「アレ?」釣り糸を引くと、イカが顔を出した!

 

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「うわぁ、釣れた!」人生で初めて釣ったイカ。こんな私に引っかかるイカ君、あんたはどんなに間抜けなんだと思いつつも、やっぱり嬉しい!

 


船は4ヶ所ぐらい場所を変えて釣った。「もう終了するよ。(イカを入れる)袋を欲しい人持ってって」船長のこの言葉で、収穫したイカを各々袋に入れて行く。私は、気持ち悪くなったり正気になったりしながら、一喜一憂で、結局4匹釣った。

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(1匹はフグ。オマケ)


日本人の方々がネットで紹介しているイカ釣り体験レポートを見ると、ボートを貸し切り、優雅にビールやワインで乾杯し、軽食を取りながら、沖に繰り出していったり、釣ったイカを、その場で炒めたり、茹でたりして食べれる船に乗ったり、娯楽色満載。

 


私も最初は優雅なパターンを想像していたが、私が参加したのはローカル色満載だった。日本人の体験談では、「15人で2時間以上がんばって12匹」なんて書き込みもあったけど、こっちは、あの貫禄のオバチャンは、48匹。オッチャンの1人は50匹以上釣ったらしい。正味約3時間の釣りでこの成果。つまり彼らは3分ちょっとで1匹のペースで、釣っていたわけ。ひょっとして筋金入りのイカ釣り名人なのか?

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さてさて、肝心な戦利品のイカ。帰宅後、一匹は焼いて、残りはお刺身にしてみた。新鮮だし、自分が釣ったものだし、甘くて、柔らかくて、格別に美味しかった。

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早くもまた、あのオッチャン・オバチャンたちがいるような船に乗って、もうちょっと上手く釣ってリベンジしたい、などと妄想している。なんだかんだ、楽しくて、やっぱりイカ釣りは、香港の夏の風物詩だと合点した!

 


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ちなみにイカは、生きている個体は「匹」と数え、食材・食用として市場に出回ると「杯」と数えるそうだ。これも勉強になった。