香港時間 - Hong Kong Time -

香港の今を、日常から、写真と文で読み解きます

Goodbye HK, 香港的二次回帰

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6月30日、時計の針が刻々と時を刻み、やがてその瞬間がやってきた。「香港版国家安全維持法」の可決だ。午前10時45分に日本人の友人から携帯に寄せられた「ついに可決したね」というメッセージで知った。昼頃に法案可決の見通しという事前のニュースを見ていたので、思ったよりも早かったんだなと思ったが、午前9時過ぎには可決したのだ。

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(RTHKのネットニュースから)

 

可決自体に驚きはない。最初から結果はわかっていたから。これで英国植民地時代から今日まで織りなした中洋折衷の多彩な「HongKong」は去り、今後は中国政府のお膝元で、「新しい香港」として香港は再スタートすることになる。

 

もちろん、香港ドルより人民元が優先されるとか西洋かぶれは許さないとかいうわけでも、生活様式が変わるというわけでもない。

 

しかし、なんといっても、自由放任主義(レッセフェール)のもと、「なんでもありの、破茶滅茶さ」がエネルギーになり、ユニークな都市を作っていただけに、明日から施行される「国家安全維持法」の下で、政府の管理・監視が強まれば、さまざまな自由は萎縮し、どこにでもありそうな普通の都市になりさがっていく気がする。

 

ここ数日、民主活動家が雪崩を打つように活動をやめていった。海外に逃亡した若者もいた。今日の国家安全維持法可決後は、2014年の雨傘運動のリーダーだった黃之鋒(ジョシュア・ウォン)、羅冠聰(ネーザン・ロー)、周庭(アグネス・チョウ)らで組織した「香港眾志(デモシスト)」が解散した。「香港独立」を唱えていた「香港民族陣線」と「学生動源」も香港組織を解散すると宣言した。

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(RTHKのネットニュースから)

 

国家安全維持法により、過激なデモによる破壊活動は封じ込められるが、それと同時に失うものは少なくない。民主派市民がよしとしてこの1年ほど続けてきた活動にとやかくいうつもりはないが、破壊と分断が大きく進んだことは否めない。ここからまた、香港人の持ち前のエネルギーで再スタートをしていくしかない。

 

香港人の友人がSNSで、「今晚餞別香港, sing Auld Lang Syne (今晩、Auld Lang Syne (日本の「蛍の光」)を歌って“HongKong”に別れを告げる) 」と呟いた。

 

私は、ユニオンジャックが下され、五星紅旗が上がり、大雨の中人民解放軍が香港に進駐してきたあの23年前の6月30日から7月1日未明の光景を思い出さずにはいられなかった。

 

香港が中国に回帰(返還)し23周年となる明日(7月1日)、香港は「二次回帰」をして再スタートすることになる。

 

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HongKong最後の日の、地元の主要4紙の一面:

 

蘋果日報

香港の自由を愛し、学術の自主を守り、世界的な価値観を大切にするから、国家安全維持法に反対

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「明報」

(政府の諮問機関の弁護士・湯家驊の話しとして)国家機密に触れる案件に陪審員制度は起用しない

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「大公報」(1面と最終面で見開き)

国家安全法は成立し、怖がらずに街を歩けるようになる

「ニ次回帰」で香港再出発

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「文匯報」

香港版国家安全法を今日表決

条文には各界の意見を盛り込む

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