香港時間 - Hong Kong Time -

香港の今を、日常から、写真と文で読み解きます

追い込まれる香港の民主活動家たち

f:id:hongkong2019:20200630004627j:image

 

国家転覆行為などを取り締まる「香港国家安全維持法」の可決・施行がいよいよ秒読み段階となり、この法案計画が明らかになって以降、すっかり表舞台から姿を消してしまった民主活動家たちだが、彼らが追い込まれている状況が地元紙からも見て取れる。

 

f:id:hongkong2019:20200630005537j:image

(「大公報」1面)

 

本日(6月29日)付「大公報」、「星島日報」などは、米トランプ米大統領が今月初めに、米国放送理事会(USAGM)が世界の民主活動に充てていた資金200万米ドル(約2億1000万円)を凍結したと伝えた。これは雑誌「タイム」の最新号からの引用で、この資金の一部は、昨年から続く香港の反政府活動に充てられていた。また同誌によると中国政府から制裁措置を食らった全米民主主義基金(NED)は昨年、64万3000米ドル(約7000万円)を香港の民主派向けに支出していたという。

 

香港国家安全維持法が実施されたら即逮捕されると見られているのが、かつての雨傘運動のリーダーで現在は香港眾志(デモシスト)の秘書長である黃之鋒(ジョシュア・ウォン)氏と、民主派大衆紙蘋果日報」のオーナーである黎智英(ジミー・ライ)氏。彼らは外国勢力と結託して国家転覆を図った罪で逮捕されるというのだ。これは、天安門事件のリーダーの1人で米国在住の王丹氏が、北京のメディア関係者から聞いた話として伝えられている。

 

6月に入って海外に脱出した活動家もいる。昨年6月10日に不法集会を開き香港独立を訴えていた「香港獨立聯盟」召集人の陳家駒氏だ。彼は昨日、facebookで、既に香港を脱出したことを明らかにした。彼は保釈中の身分だが渡航禁止にはなっておらず、ヨーロッパに渡ったもようだ。

f:id:hongkong2019:20200630004647j:image

(域外逃亡した陳家駒氏、「明報」から)

 

市民運動から身を引く」と宣言した時事評論家も出てきた。香港は中国と対等のポリスであるべきと説く「香港城邦論(香港ポリス論)」を展開していた陳雲氏だ。彼も昨日、ソーシャルメディアで香港の社会運動から退出すると宣言をした。彼は2016年の立法会(議会)選挙で落選後、「基本法を永続させるのは、香港が独立することだ」などと唱えていた。

f:id:hongkong2019:20200630004656j:image

f:id:hongkong2019:20200630004708j:image

(社会運動から身を引くと宣言した陳雲氏。「頭條新聞」から)

 

「香港国家安全維持法」は、明日のお昼には、中国の全国人民代表大会全人代、国会に相当)常務委員会で可決し、7月1日から施行される見通しだ。香港は7月1日の返還23周年を機に“生まれ変わる”ことになる。