「花束よりマスクを」いつもと違うバレンタイン
2月14日は知らずと知れたバレンタインデー。日本では女性が男性にチョコレートを贈るが、香港は男性が女性に花束を送る日だ。全て“本命”で“義理”はない。
花束は周囲に「私は彼氏がいるのよー」とアピールする意味もあるので、目立つように、大きければ大きいほどいい。しかも見栄っ張りの香港女性を満足させるために、日中にまず、花屋から彼女のオフィス宛に届けてもらう。彼女はオフィスの机にその花束を飾ることで、周囲に「私は仕事もプライベートも順調よ」とアピールする。そしてアフター・ファイブは、その花束を持って彼氏とデートする、というのが香港のOLの典型的なバレンタインのパターンだ。
ところが、今年は事情が違った。事前注文による配達が大幅に減ったのだ。何故か?香港でも「COVID-19(新型肺炎)」の感染拡大が警戒され、香港政府は春節休暇後の1月29日以降、ずっと在宅勤務を推奨しているため、これに準じている企業は少なくない。つまりわざわざ花束をオフィスに配達する必要性がなくなったのだ。ある花屋さんでは、昨年より7-8割も落ち込んだという。
花束の相場は下がっておらず、200香港ドル(約2800円)から700香港ドル(約1万円)が売れ筋だったらしいが、オフィスでアピールする必要がないからか、地元紙によると、「花束よりもマスクを」という彼女も少なくなかったようだ。
例年ならこの日の夜は、彼氏にエスコートされながら花束を抱えて闊歩する女性の姿が街にあふれるが、今年は激減していた。人混みを避けるために家で過ごすカップルも多かったようで、飲食店もバレンタイン効果はなく、散々だったそうだ。
そんな中で、個人的に微笑ましく思えたのが、COVIDー19に関して毎日香港の状況を記者会見している衛生防護中心伝染病処の主任の発言。「バレンタインがカップルの大事なイベントであることはわかっているけど、体調が悪かったら、出来るだけ会わないようにして欲しい」と、母のようななんとも優しい目線で呼びかけていたのが、ほっこりした。
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